研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 043/106page
ことにBについては,大憲章,人権宣言と答えたものが多く,Eとともに正答率が36%と低くなっている。
市民革命の、思想的背景を重視することと,基本的な年代をしっかり覚えさせる必要があり,また歴史的分野と関連の深い部分を,公民では簡単に触れる程度で通過することのないように気をつけなければならない。
【2】 資料活用の能力
1−(1)
公債および借り入れ金が,戦前の国家予算の中に占めていた割合について認識されていないものが多い。誤答のほとんどが専売納付金とされているが,財政の健全化のためにも,戦前の公債に目を向け,考えさせる。また,個々の歳入内訳の項目・内容に具体的なイメージを与えるような指導と,予算,租税,公債などの学習を通し,財政本来の役割を明らかにして行かねばならない。
【3】 社会的思考・判断
インフレーションの原因についての正答率は57.7%で,誤答の多くはイとウである。イはデフレの原因であり,ウは商品量が増せば貨幣増とつりあうことに気づかない。
インフレーションの影響では,エに対する正答率は72%と高いが,イについては33%と低くなっている。その誤答の多くは,オに集中し,インフレの進行にともなう対策と混同している。
インフレ,デフレなど,生徒にとっても身近な現象でありながら,そうした受けとめ方がなされていないようである。理論的に解明することも大切であるが,家計との関係,地域の実態など併せて考えることも重要である。問3−(1)
日本経済の問題点としての二重構造を資料を通してとらえさせる問題であるが,資料の数が多く,その意味をじゅうぶん読みとることが困難であったためか,Bの正答率は31.8%と低く,誤答のほとんどがアとなっている。
高度成長と大企業の設備投資の関係をしっかりおさえさせるとともに,統計資料の活用になれさせておく必要がある。