研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 045/106page

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1 数学科における問題の構成

(1) 問題作成の基本方針

 このテスト問題は,それぞれの該当学年において学習した結果の学力の実態を診断的にとらえ,今後の学習指導に役立てる資料を得るために用いられることをねらいとしている。
 そこで,問題の作成にあたって,このねらいが達成されるように,次の事項について特に配慮し,テスト問題の妥当性および信頼性を高めるように努力している。

@ 当該学年で学習すべき数学科の内容についての基礎能力をとらえられるようにする。
 「学習した結果の学力の実態をとらえるという観点から,学習内容の習得の程度を数学科の学力の一つの内容と考え,その学習内容は学習指導要領に示されている指導内容であるという立場をとった。
 このことから,学習指導要領と教科書の分析を行い,問題の作成および構成を考えた。」

A 論理的基盤にたった着想をつちかう、思考活動と処理能力を診断的にとらえられるようにする。
「学習指導要領のねらっている数学科の能力,i.e.事象を数理的にとらえるときの事象の本質の見きわめ方,論理的に考えること,簡潔化,明確化・統合化の観点にたって考えることや,処理の能力を診断できるように,問題の内容および構成をくふうした。

B 理解の深さおよびつまづきの箇所を診断できるようにする。
「概念や論理・法則,あるいは計算および基礎的事項についての理解の程度の深さ,そして,つまづきの箇所をとらえ,指導に役立てるように,問題の内容および系列等をくふうした。」

C 当該学年の数学科の学力を概観的にとらえ,かつ,教科内における学力の差異をも診断的にとらえられるようにする。
 「学力の意味内容の規定の仕方にはいろいろあるが,ここでは,学校で形成すべき生徒の学力は生涯教育としての人間形成をめざした知識や技能の基礎であるという観点から,学力は学習指導要領の指導内容の定着度合によって定まると規定して,学習指導要領の領域のねらいにあった内容の問題を網ら的に作成し,それによって問題を構成しテスト問題の妥当性を高めて,学力を概観できるようにした。」

(2) 領域の設定

 前述した問題作成の基本方針から,領域は学習指導要領に示されている指導内容の領域を,そのまま用いるのが適切であると考えた。

 したがって,それは「数・式,関数,図形,確率・統計,集合・論理」の五領域であるが,問題の構成上からみると集合・論理は他の領域のなかでしばしば用いられる。
 それで,集合・論理の内容を他の領域に含めて問題を構成し,プロフィールにおいては独立させて五領域とした。

 次に,問題を構成するときの観点を,知識・理解,技能,数学的な考え方の三つにおさえた。
 そして,それらの観点の意味内容を,次のように規定した。
 @分析,A総合,B類推,C演えき,D帰納,E直観,F洞察,G創造,H関係的思考,I関数的思考,J一般化する思考,K拡張する思考,……〔知識・理解〕
 @〜Kなどの背景となる概念や原理・法則に関するものおよび用語・記号。

 〔技能〕
 @〜Kなどの操作において,計算したり,かいたり,読んだり,表現したりすることに関するもの。

 〔数学的な考え方〕
 @〜Kなどが総合されたもので,構造をとらえたり,見通したり,論理的に考えたりすることに関するもの。


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