研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 048/106page

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(2) 考察の結果

@ 概観

 問題別正答率は上に掲げた通りであるが,領域別の平均正答率は次のようである。

領域
平均正答率(%)
数式
関数
図形
確率・統計
集合・論理
39.2
35.9
45.1
34.4
44.6

 領域別にみた揚合,確率・統計,関数の正答率が特に低い。
 集合・論理については,指導要領の趣旨にそい他の四つの領域の問題解決の場面で診断するようにしたが,他の三領域をしのぐ正答率を示している。

A 領域ごとの考察

 ここでは、領域内で特に正答率が低いものや,誤答にある種の傾向・類型が認められるものについて考察を加えることにする。
【1】 数・式
 1は,記数法に関する問題で,(1)は十進記数法(2)は五進数の加法についての設問である。位取り記数法(十進法についての)の正答率は,五進数の加法よりかなり低いことを示している。位取り記数法についての埋解を深めるために,五進数や二進数の演算がとり入れられたことを考えるとき位取り記数法の原理の理解を深める指導が望まれる。

 3は,補集合を求める問題であるが,正答率は18.6%と極めて低い。誤答の傾向から,次のことが指摘できる。

○内包的表記法で規定された集合の要素を列記できない。
○特に条件が包含的離接のように複合命題の場合に困難度が高くなっている。
○補集合の意味の埋解がたしかでない。

【1】−4は,数量関係を表わし,その式を別の角から見なおして数量関係をとらえる能力を測定しようとする問題である。(1)の正答率は22.1%と特に低く,誤答のほとんどがab(倍)としている。
 この原因が5a+5b→5(a+b)といった見方ができないためなのか,それとも
5(a+b)を「5のa+b倍」としてとらえ得ないためなのかは明らかでない。

【1】−7は,近似値の乗算のしかたと、結果のまるめ方に関する問題である。設問の中で乗算のしかたが示されているので,結果のまるめ方の問題と考えてよい。正答率は14.6%と極めて低く,誤答は148,149,153の三種に類別される。148(149)は小数第一位を切り捨て(切り上げ)たものであり,153は9.3×16.49を計算して得た結果をかみ三けた取ったものである。いづれも,誤差と有効数字の意昧,および近似値の表わし方についての理解が不じゅうぶんであることを示している。

【1】−8は,数量関係を式や不等式に表わす問題である。
(1)については,A+3=B,m−3=n といった誤りがみられる。
(2)については,a=b>0,a=b といった誤りがみられる。
(3)については、x=400÷2+60,x=(400-60)÷2+60など題意を「兄の金額を求めるしかた」としてとらえているものが多くみられた。なお,(1)〜(3)を通していえることは,数量関係の洞察ができないもの,等式,不等式に表現する能力が伸びていないものがかなりの比率をしめているということである。

【1】−10は,同類項をまとめて式を簡単にする問題である。(1),(2)に共通している誤りの傾向は,
4x+2→6x
6x−x→6
5a+8a→13a2
といったものである。同類項の加法減法がなされる原理的根拠をわきまえて計算をすすめるような指導がたいせつである。

【1】−11は,方程式・不等式の解を数直線上にプロットさせる問題である。(1)の正答率58.2%に対して,(2)の正答率は16.9%と極端に低い。これは(1)の解が一つの集合からなる集合であるのに対し(2)の解の集合は三つの要素からなり,これら全てを尽さなければ解の集合といえないことが十分理解されていない。ごく少数ではあるが,数直線の目盛に整数を対応づけることができないと見られ


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