研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 049/106page
る誤答があったことをつけ加えておきたい。
【1】−13は,xの集合が与えられていて,方程式の解の集合を求める問題である。無答が大きな比率をしめており,誤答には,xの集合の要素を列挙しているもの,集合を表わす記号{x| },結びや交わりを表わす記号∪,∩がみられた。(2)では{2.5}といった誤答もあり,集合{x|xは自然数}の要素であるといった解の条件を見落しているものもみられる。
【2】 関数
2は,数量関係を式とグラフに表わす問題である。(2)は,距離(yKm),速さ(毎時6Km),時間(x時)の関係についてであるが正答率は19.8%と低い。誤答は,数量関係を式に表わす段階での誤りとして, や6=x+yといったものがみられ,またグラフについては,式と矛盾するものをあげているものがかなりみられる。いづれにしても,距離,速さ,時間の関係といった数量関係の基礎的事項についての理解が十分でないこと,比例や反比例関係のグラフの特徴をとらえていないこと,式から数量関係を読みとることができにくいなど関数指導にあたって考慮しなければならないことがらである。
なお,関数については,領域としてみた場合,他の領域より平均正答率が低い傾向にあるので,指導にあたっては教材の選択や取り扱い方にくふうをする必要があることは論をまたないが,評価によって理解をたしかめながら指導をすすめることが大切である。
【3】 図形
5は,図形の移動による図形の相互関係を見いだす問題である。
(2)では,平面図形を平行に移動してできる空間図形を次の図形の中から選ばせようとしたものである。
〔 ア 円柱 イ 四角すい 〕 ウ 円すい台 エ 正八面体 オ 立方体 カ 球
正答率は11.2%と極めて低い。誤答の傾向をみると,
@ 四角すいを選んでいるもの
A 円柱を選ばないもの
B 立方体のみとしているもの
などがあげられる。この原因として考えられることは,
@ 空間図形の定義を明確にとらえていないために,名称から実物のイメージがとらえにくい。
A 平行移動,対称移動,回転移動などいろいろな移動による図形の相互関係について,十分な理解がなされていない。
ことなどがあげられよう。したがって,これらを補うような学習指導のあり方が望まれるわけであるが,この際特につぎのことに意を用いるくふうがたいせつであろう。すなわち,図形を固定的にみるのではなく,視点をかえていろいろな見方ができるようにすることである。円柱を一回転してできる立体としてみることはできるが,平面図形を平行に移動してできる立体としてとらえ得ないものがかなり多い。これは視点をかえてみる見方の指導が大切であることを示しているといえようし,またこれまでの指導の反省ともいえるのではないか。
【3】−12は,与えられた条件を満たす図形を作図したり,確かめたりする能力をみる問題である。平均正答率は11.2%と極めて低い。答えを文章記述としたために,いろいろなものがみられ,類型化することはむずかしい。しかし,誤答の原因としては,次の二つに大別して考えることはできよう。
@ 題意を読みとることができないことによる。
A 答えを適切な文章にまとめて記述することができないことによる。@については,「定点」「PA=PBという条件をみたしながら動く」といったような,用語や数学特有の表現になれていないために,問題事態を的確にとらえることができにくいものと考えられる。したがって,日常の指導において,次のようなくふうが必要ではないだろうか。
@ 文章で記述された問題を適切な図に表現する。
A 図で示された問題を適切な文章に記述する。
B 日常的な問題事態を数学的な用語記号を用いて表現したり,条件を整理して仮定・結論の関係としてとらえたりする。
【3】−13は,円すいの体積,側面積を求める問題である。円すいの,母線の長さ,高さ,底面の半径が与えられている。
この問題で,側面積を求める問題は平均正答率が特に低く,8.6%である。