研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 050/106page
誤答の傾向は,
@ 側面積を表面積と同義にとらえているもの。
A 円柱の側面積のとしているもの(体積の求め方と同じにとらえている)。
B 求積のしかたが判然としないもの。
に分けられるが,特にBの誤答の比率が高い。この中には,次のような点についての理解がじゅうぶんでないことが考えられる。
@ 円すいの側面はおうぎ形である。
A 円すいの母線,底面の円周は,おうぎ形の半径,弧に対応する。
B 円すいの底面の周(おうぎ形の弧の長さ)は,底面の半径の2倍に円周率を乗じて得られる。
C おうぎ形の面積は,半径と弧の積を倍して得られる。いずれにしても,求積の能力がじゅうぶんに伸ばされていないといわざるを得ない。
4 確率・統計
ここでは、度数分布の意味とヒストグラムの見方,相対度数の意味,代表値の意味や求め方について,問題が構成されている。
【4】−1の(3)は,度数分布表から平均値を求めさせる問題であるが,正答率は8.9%と極めて低い。これは,テスト実施の時期と標本校のカリキュラムのずれによることも予想される。しかし,原因がそこにのみあるのではないことは,他のテスト項目に対する反応から明らかである。(たとえば、階級の幅,モードなどに対する正反応は55.9%とかなり高い)。つまづきの原因を誤答の内容からさぐってみると,
@ 階級値の意味をよく理解していない。とくに,階級値を階級の代表値という意味あいでとらえることができにくいようである。
A 度数,仮りの平均,仮りの平均との差などについて理解がじゅうぶんでない。
B 平均値を算出する過程で行う操作の意義を明確にとらえていない。などが考えられる。いずれにしても,機械的な操作に終始することなく,計算のよりどころとしての意味づけをしっかりとらえさせる指導がたいせつではないだろうか。
【4】−2の(2)は,度数分布図を読みとり,相対度数を算出する問題である。平均正答率は14.9%とかなり低い。誤答の原因は,大別すると次の二つになる。
@ 度数分布のつくりを理解していない。
A 相対度数の意味を正しく理解していない。Aの原因によるものが多かったが,各階級の度数を読みとれないもの(@の原因による)もある。
相対度数は,2年で指導する確率の考えの一つの基礎になるものであるから,このことも考慮に入れた指導をくふうすることが必要であろう。
3 第2学年の結果の考察
(1) 問題のねらいと正答率
領域 問題のねらい 問題番号 正答率 小問 大問 領域1 数の集合のもつ構造がわかる。 1 (1) 63.0 56.0 (2) 47.7 (3) 22.9 3 (1) 82.6 (2) 64.4 (3) 55.3