研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 054/106page

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A「…は…の何倍」といった見方があいまいなもの。
B題意を読みとれないもの
などがみられる。
(2)についてみると,
@面積比が したがって辺の長さの比はといったように題意をよくとらえずに,機械的な答え方におちいっているもの。
A(1)と同じような原因によって誤りをおかしているもの。
などがある。
いずれにしても,相似の概念を理解させて図形の性質を明らかにするという目標についてのせまり方はじゅうぶんでないといわなければならない。また,図形領域のねらいでもある「仮設(仮定)から結論を直観的に見通したり,筋道を立てて考察する能力や態度」は期待されるまでに伸長されていないと思われる。
 なお,題意を正確には握するという面で劣っているように思われるので日常の学習指導においても配慮する必要があろう。

 問題8は,「AB=DCである四角形ABCDがある。この四角形を平行四辺形にするには,どんな条件を加えればよいか」という問題である。
四つの選択肢を設けて,その中から1つ選ぶように構成されているが,平均正答率は21.5%である。ランダムセレクションによる正答率の補正をするまでもなく極めて低い正答水準である。
問題8
 誤答では,∠A=∠Cを選んだものが最も多く,次いで∠A+∠B=2∠R AD//BCとなっている。
 このようなことから,直観的に立てた見通しを推論によってたしかめようとする学習態度が身についていないものと推察される。

 問題11は次のようである。
11 下のT図,U図,V図ともM,N,P,Qはそれぞれ線分AB,AC,DC,DBの中点である。次の問に答えなさい。
問題11

(1)T,U,V図の四角形MQPNはどんな四角形か。下のア〜エの中から選び,記号で答えよ。
 ア.ひし形
 イ.長方形
 ウ.平行四辺形
 エ.台形

(2)(1)で選んだ理由は,下のア〜エのどれか,記号で答えよ。
 ア.2組の対辺がそれぞれ平行で,一つの角が直角である。
 イ.1組の対辺が平行である。
 ウ.4辺の長さがそれぞれ等しい。
 エ.1組の対辺が平行で,長さが等しい。

(3)V図で,ADとBCが直交するとき,四角形MQPNはどんな四角形か。その名称を書け。

 この問題では,(3)の平均正答率が14.4%で,(1),(2)に比して極めて低い。誤答をみると,ひし形,正方形といったものが大部分である。
 このような誤答がみられる原因と考えられることは,
@四角形MQPNが平行四辺形になる根拠をよく理解していない。
A平行四辺形で,となりあう辺が直交すれば長方形になることが理解されていない。
B長方形,ひし形,正方形の定義が理解されていない。
などがあげられよう。
 いずれにしても,図形を静的・固定的にみるのにとどまることなく,図形の見方を豊かにすると


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