研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 066/106page

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のための情報として活用できる力を身につけているといえるのではないだろうか。

第 2 分 野 (生物的領域)

 この領域の観点別の平均正答率を整理すると「知識・理解」が26.6%,「観察実験の能力」が29.4%,「科学的な思考力」が28.3%となっている。
各観点間の差はほとんど見られないが,生物的領域全体としての正答率は27.9%とかなり低い値を示している。

@ 知識・理解

問6の問題は種子植物の形態的な特微を問う出題である。【9】の正答率は53.0%,【10】の正答率は39.5%を示している。【9】の出題は,それぞれの植物の特徴から、はいしゅが子房によってつつまれる,はいしゅが裸出するという分類の基準を問うものである。しかし,その内容は単に形態的な特徴だけにとどまるものではなく,生物の分類と系統へ発展する上で重要な内容である。【10】の正答率と合わせて考えると,生物相互の類縁関係と系統的な配列へと発展できるような指導が今後必要に思われる。

問7の問題は,陸上で生活する動物の体温と気温の関係,さらに二酸化炭素の排出量と気温の関係を問う出題である。この問題は,恒温動物,変温動物の気温の変化にともなう体温の変化がわかり,また,それらの動物が気温の変化に対してどのような呼吸変化を示すかがわかっていなければ,正答をみちびきだすことはできない。正答率をみると【11】の恒温動物に肉するものが17.8%,【12】の変温動物に関するものが16.6%とかなり低い値を示している。このことは、気温の変化にともなう体温の変化という現象と,呼吸という現象の関連がとらえられないことを示すものであろう。

図1のAとBが恒温動物と変温動物であること,また,それらの動物が,ネズミ,ウサギ,ヘビ,カエルであることを答えるのはむずかしいことではない。しかし,図2から二酸化炭素の排出量と気温の関係をとらえることには,かなりの抵抗があると思われる。ここでは,C,Dのグラフの読みとりと,恒温動物,変温動物が気温の変化にともなってどのような活動をし,そのために呼吸がどのように変化するかを思い出し,むすびつけて考えていかなければならない。単に一つ一つの現象を理解させるのではなく,生物現象を総合的にみる指導が必要であろう。
図1 図2

A 観察・実験の能力

問2の問題は,実験を計画する時の条件統一と対照実験の必要性を問う出題である。【2】は,生きているメダカが呼吸をしていることをたしかめるために,どのような装置を必要とするかを問うものであるが,27.5%と正答率は低くなっている。ここでは,生きているものに対して,BTB水溶液だけの装置と比較し,さらに,BTB水溶液の変色が生きているメダカによることをはっきりさせるため,対照実験として死んだメダカの入った装置を選択してこなければならない。5g重の材料を用いて条件を統一すること,対照実験をすることなどについては,比較的簡単に解答できると予想していたが,正答率が低かったことからみると条件統一,対照実験などの生物実験に関する基本的な指導がじゅうぶんではなかったように、思われる。

【3】は,えらという呼吸器をもつメダカと特別な呼吸器をもたないミミズの呼吸を比較し,呼吸器のちがいによって排出される二酸化炭素の量のちがいを調べる問題である。正答率が9.7%と前問の27.5%と比較してもかなり低い値である。

このことは,5gの実験材料を用いて条件統一をすること,二酸化炭素の排出量の比較が,メダカとミミズの比較だけにとどまり,BTB水溶液がどれだけ変化したかという比較がぬけてしまったためであろう。【2】同様,基本的な実験の指導が必要であろう。
 5の問題は,発芽したソラマメの根の成長のようすをグラフから読みとる問題である。この問題は,根の成長が,成長点の細胞分裂と,分裂した細胞の成長によること,さらに成長点が根の先端


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