研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 067/106page

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に近いところにあることがわかっていれば,完全に解けなければならない問題である。正答率が51.0%と他の問題と比較するとよくできているが,指導するにあたっては,観察した事実を図式化するなどして,根の成長をとらえさせることが大切である。

B 科学的な思考

問1の問題は,
【1】 ウナギの腹に卵をみかけないこと。
【2】 川と連絡のない山中の沼などにもウナギがみられること。
【3】 池の泥をさらった後ウナギを入れたことがないのに,数年後にウナギがみられること。
という事実をどのように解釈するかを問うものである。

この内容は,学習した内容そのものについて問うのではなく,考え方をみるための出題であったが,ウナギの産卵,移動などの未知の内容がふくまれたためか5.2%と極端に低い正答率であった。このことは,学習した内容以外の事象に対して思考する力の弱さを示すものともうけとめられる。今後の指導で充分検討されなければならないことがらである。

問3の問題は、寒天培養基にうえつけた細菌の数の変化をグラフから解釈するものである。【4】は増加のグラフをどのように解釈することができるかをみるものであるが,結果は16.8%と低い値を示している。このことは,グラフの解釈ができないということ以前に,細菌のふえかたの基本的な理解ができていないためと思われる。一つの細胞が分裂をして2つになり,次の段階では4つになることが理解されていれば,このグラフの解釈は困難なものではないかと考えられる。

【5】については,正答率が61.3%を示し,【4】に比較するとかなり良い結果が出ている。これは,グラフが下向きになることの解釈が,細菌数の減少と直接むすびつくためであろう。グラフの解釈の指導にあたっては,個々の生物の基本的な理解の上に立ったグラフの読みとりをさせることが大切である。

 5の問題の【8】は,細胞分裂の過程を順序だてて考えていく問題である。この教材の指導は,いくつかのちがった段階の細胞分裂の観察を通し,分裂の順序を考えさせていくのが普通であるが,この問題の正答率の29.8%という値から判断すると,学習が単なる記憶にとどまってしまっているように思われる。

問8の問題は,セキツイ動物の初期の発生の過程を通して,進化の過程を思考させる出題である。
正答率は28.4%である。

 この問題では,発生の初期の段階の比較から共通の祖先をもつこと,その形態上の特徴から水中生活を思考させるのであるが,これらのことが,この図から読みとれなかったものと思われる。問題文の中にあるこの図だけからという点に注意してこの図を読みとれば,前記した二点は図の中から読みとれたのではなかろうか。

第 2 分 野 (地学的領域)

 第一学年で学習する地学的領域の大部分は,天体領域である。この領域の指導は,データ収集において,観測時間に困難性があるために容易でないと考えられる。

 そのため,本問題は,日中,学校で観測できる部分をあげ設問してみたわけであるが,それでも理科全体の中でみると正答率が極めておちているのが実状である。理科全体でみると平均正答率が39.0%であるのに対し,第2分野は29.3%となっている。さらに地学的分野においては,これを下まわっているのである。

 全体的にみて,天体の観測は,それなりに実施され,データの収集を行なっているが,その後の処理についての指導が生徒達に徹底していないむきがあるように思われるので,今後,データの処理のための充分な時間を確保したいものである。

@ 知識・理解

 この領域では【23】,【24】,【25】がそれに該当するが,特に【23】のように既有の知識を文章に表現するものについては,極めて正答率が落ちている。また,【25】のように種々のデータを用いて現象を一般化することにかなりの抵抗があるようである。

 この一般化する過程は,理科指導中特に重要な段階であるだけに,指導にも苦労が多いと思われる。やはりこの段階は種々のパターンのデータを数多く処理させることにより,自然に一般化され(生徒自身が)ていくまで実施する時間的な余裕が必要であろうと思う。

 【24】の場合は,ほぼ理想的な結果を得ているが,


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