研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 072/106page

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なっていることはもちろん,適用の限界もは握しておかなければならない。本問は,横軸に電圧をとっているので,グラフの傾きそのものは抵抗の逆数である。ここで傾きが抵抗であるという間違いをしたものが多いのではないか。R=K÷Iを確実に理解していることが要求される。

 問題7 【10】とつレンズによる像までの距離と物体までの距離の関係を表わしたグラフから,レンズの焦点距離を求める問題である。物体までの距離を無限大にしたとき,像は焦点上にできることから(a−f)(b−f)のたて,横軸を引いが反比例関係を導いているのであるが,測定値の解釈や処理などの研究方法を習得させることがたいせつである。

B 科学的な思考

 2年物理領域での科学的な思考についての問題は,【1】直流と交流のちがいを筋道をたてて考える(14%),【6】オームの法則の関係は握(30.8%)【9】電力・仕事率等の結果の推論(75.3%)【11】とつレンズによる像の変化を推論する(69.7%)

 問題1 【1】フェノールフタレン液を加えた食塩水で湿らせたろ紙の上を,交流につないだ2本の針金棒を動かしたとき,赤色の線はどのようにできるかという問題である。交流の特徴に気づいているかどうかである。赤点線が重複しないで交互にできるのであるが,14.2%の低率である。直流と交流では,電流の流れかたに違いがあることを実験を通して気付かせることになっており,実験の方法としては,フェノールフタレン液,化学反応の表われかた,スピーカーの音,ネオンランプの点燈,ブラウン管オシロスコープなどあげられている。
 オシロスコープを利用している学校が多いのではないかと思われるが,本問題でも交流の認識が正確であれば,直流による例示から推論が容易と思われる。

 問題5 【6】3種類の鉄線(空気中においたもの,水中においたもの,加熱した場合)に流れる電流と電圧の関係を表わしたグラフから空気中においたものを選び出す問題で,オームの法則の適用範囲を知って温度変化の多いものはどれかと思考する。
電熱線をアルコールランプで加熱した場合は高温になるのでオームの法則が成り立たないと推論する生徒も多いと思われる。温度の変化が電気抵抗を変化させるという事実を基として,適確に判断する力をふだんの学習活動の中でのばしてゆくようにくふうしたいものである。

第 1 分 野 (化学的領域)

 2年の化学的領域は「物質と原子」であるが,他の領域にくらべて正答率がやや低い。特に,基礎的事項や単純な知識を求める問題の正答率か低いのが目だった。これについては,第1学年 第1分野(化学的領域)の冒頭で述べたことがここでもあてはまるように思われる。また,1題だけであるが,モデル思考に関する問題の正答率が著しく高かった。

@ 知識・理解

 【19】は,酸化銅が水素によって還元されて銅になるときの色の変化を答えるもので,定性的にでも実験を経験しなければ答えられないだろう。こうした科学的事実は,知識として特に重要なものではないが,概念形成の基礎となるものが多いので軽視できない。約半数の生徒が正答しているが,よりこまかな観察力の育成が望まれる。

 【21】は,亜鉛やマグネシウムに希塩酸を加えたときに発生する気体名を答えるものであるが,正答率は19.3%と著しく低い。もちろん,この教材は化学反応における規則性を発見させるもので,発生する気体が水素であるということは,それほど重要なことではない。しかし,亜鉛やマグネシウムは塩酸と反応して水素を発するという事実は先にも述べたように基礎的な科学的知識としてやはり必要なものであろう。これは,やがてイオン概念を深めていくことに発展するのである。正答率が著しく低いとともに無答がひじょうに多かったことは,解答が記述式のためだけではないだろう。この実験をとり扱わない学校は少ないと思うが,金属の質量と,生成した金属塩化物の質量との間の規則性の追求に重点がおかれ,発生する気体に対して注意がむけられることが少ないのではないだろうか。

 また,この実験の代りに,この問題のように,金属と,発生する水素の体積の関係を調べたり,金属の種類の違いによる水素の発生量の違いを測定して考察させることも有効である。

 【23】は元素の定義であるが,これも,選択肢があ


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