研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 081/106page

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義を大切にしたい。

 【15】は,エネルギーの変換の際,一つのエネルギーが他の一つのエネルギーにだけ変換するのではなく,いろいろのエネルギーに変換されることを確かめる問題であるが,正答率は24.7%と物理的領域全体の中で最も低い。誤答で一番多いのはエで,発電機にした仕事と発生するエネルギーは等しいと

 【17】【19】は,電流,磁界,力の関係を問う問題であるが,正答率はそれぞれ68.7%,48.5%で,【19】のアルミパイプの動く方向,電流の流れる方向を問う問題の正答率が低い。パイプの動く向きの覚え方であるが,フレーミングの左手の法則は,右手の法則と混同しやすいので,次の図のように考えさせたい。
フレーミングの左手の法則
 すなわち,電流は磁石の磁力線と直流電流がつくる磁力線の向きが一致するA側は磁界が強められ,B側は逆に弱められるのでB側へ力を受けることになる。

 【20】は直線状の導線に電流を流した時できる磁界の向きを問う問題であるが,イ,エと答えた生徒はほとんどいなく,誤答の大部分は,アである。これは正答率55.5%からみて,導線のまわりには円形状の磁力線ができるが,その向きについては約半数の生徒がわかっていないことになる。いわゆる右ねじの法則を教える前に導線のまわりに磁針を置いて生徒自身にその規則性を発見させたい。

 【24】【25】は速度に関する問題であるが,正答率はそれぞれ51.0%,66.5%である。【24】の誤答がアに集中していることからみると,加速度と速度の関係がまだじゅうぶんに理解されていない。加速度の概念は,速さと時間の関係を示すグラフを生徒自身に作成させ,それから導くようにしたい。

A 実験・観察の能力

 この領域は【12】【14】【22】【23】がこれに該当する。
【12】はいわゆる科学の方法のうち条件制御に関する問題であるが,正答率は44.3%と意外に低い。

誤答の中で多いのは,ウである。これは実験の目的と条件制御の意味がよく理解されていないためと考えられる。実験をする場合は,ある事象が生起する条件をいろいろ変えて観察したり,測定したりするわけであるが,この条件を意図的に変えたり,一定にしたりすることを教師が教えこむのではなく,生徒自身にさせてみることが大切である。理科の学習を,すべて探究の過程を重視し,科学の方法で探究させることは不可能であるが,生徒の実態に促してどこでどんな科学の方法を主にとりあげた指導をすべきか,年間計画の段階で考えておく必要がある。

 【14】はいわゆる操作的定義を通してその事象が生徒の身についたならば定着させるまでドリルが必要であることは正答率39.4%をみてもわかる。
 科学の方法のうち,データーの解釈(グラフの解釈が【22】であり,【23】が数式化の問題である。正答率は各々64.0%,60.7%であるが,【22】は単にグラフを読みとればよい問題であり,【23】は「初速度が0のとき,等加速度直線運動における速さは,時間と比例する」ことの実験を通し,グラフ化をしていれば容易に理解できる問題であるが,このグラフの比例定数が加速度であることを見のがしてはならない。

B 科学的な思考

 この領域は,【11】【16】【18】【21】がこれに該当する。
【11】は磁石の力と距離の関係を問う問題であるが,正答率は64.7%である。誤答の中で目立つのはウであるが,これはゼムクリップやスライドグラスが直接に条件の中に入っていない事を察知できないためと思われる。【12】で述べたとおり,基本的な条件制御についての指導が必要である。

 【16】は,誘導電流は磁界の変化を妨げる向きに流れ,誘導電流を流し続けるには仕事をしなければならないことを確かめる問題であるが,正答率は75.3%と物理領域中で一番高い正答率を示している。このように四者択一であり比較的区別しやすい選択肢のためと思われるが,生徒には実験の企画,観察,その結果の整理,解決,法則化と科学


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