研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 082/106page

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の方法上の手順に従ってまとめさせる指導が望まれる。

 【18】は,直流と交流の基本的な違いをみる問題である。正答率は63.4%で,誤答はエに集中している。電流は交流でも直流でも電子の流れであるが,交流は電流の強さと向きが絶えず変化していることを具体的に指導する必要がある。

 【21】は〈図1〉のグラフから時間を求め,さらに〈図2〉から距離を読みとる問題であるが,正答率は63.4%である。この程度のデーターの解釈は,【23】で述べたように基本的な実験を通し,グラフ化をしていれば容易に理解されるものと思われる。

第 2 分 野 (生物的領域)

 3年の生物的領域は,「生物の反応」と「生物と環境」の二つである。それぞれの正答率を比較すると47.0%と71.7%となり,「生物と環境」についてはかなり高い正答率を示している。「生物と反応」の正答率が低かった原因は,理解が不確実であるため記述形式の問題に対して反応できなかったこと,観察したことと,そこから解釈されることがらとの区別ができなかったことの二つが考えられる。

@ 知識・理解

 【1】は,五つの動物の行物の中から,刺激に対する反応でないものを選び出す問題である。したがって,この問題を解くためには,外部から加えられた刺激が何であり,その刺激に対して動物がどのように行動するかを既有の知識と対比してひとつひとつ吟味しなければならない。そのため,ミミズ,メダカ,カ,ガの四つの動物の刺激に対する反応について,正確な理解が要求される。これらの動物の行物については,ほとんどの学校で指導しているため25.3%の正答率は知識の把持力の不足,不確実な理解が原因と考えられる。

 【2】【3】は眼球の光に対する反応を,こうさいのひらきから考える問題である。【2】については,問題を解きながら実験ができること,日常の生活経験の中から考えられることなどから63.0%はほぼ妥当な正答率といえよう。【3】については,光に対するこうさいの反応が反射であること,反射には意志がはたらかないことの二つが理解されていなければ解けないため49.0%と正答率が低くなっている。しかし,二つの内容が組み合わされたものとはいえ,反射は意志と無関係におこることは反射の学習では基本的なこととして理解していなければならないことである。授業の中でぜひ確認しておく必要があろう。

 【4】【5】は,大脳および延髄の位置とはたらきを問う問題である。この二つの正答率を比較すると,大脳については71.4%,延髄については2.7%と大きな開きがみられる。【5】について,誤答の傾向を調べてみると,延髄とせき髄を混同しているものがほとんどであり,ここでも理解の不確実さが目立っている。

 【11】【12】は,発芽したアズキに対して光の条件を変えた場合の草たけと,乾燥重量のちがいを問う問題である。【11】の誤答を調べてみると,暗箱に入れた場合と,半日陰においたものの草たけが低くなると解答したものが約半数ずつであった。この問題の正答率が52.3%であることから考えると,約半数の生徒が光があたると草たけが低くなり,乾燥重量が増加するという事実をとらえていないことになる。今後の指導の大きな反省材料として考えてみなければならない問題である。

 【13】は,野草方形区の中の植物から,野草方形区が置かれた場所が日陰であることを判定する問題である。日陰に生育する植物の代表種としてコケが一面に生育していることから,日陰と判定するのであるが,やさしい問題にもかかわらず64.4%の正答率にとどまった。基本的なことがらであるため,実際に野外に出て具体物に接して指導をしておく必要があろう。
 【15】は,森林内の食物連鎖を問う問題である。ここでは,落ち葉→コンチュウ→小鳥→肉食鳥類の連鎖関係がよくとらえられている。【17】についても生物全体のうつりかわりについての総合的な判断がよくなされており,91.7%の高い正答率を示している。

A 観察・実験の技能

 【6】の問題は,観察したことがらから事実と推論を区別する問題である。観察の指導では,事実とそこから考えられる推論とをはっきり区別することが大きなポイントになっている。この問題ではミドリムシが光の方向に集まってくること,重力の反対側に集まってくること,空気と接する水面


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