研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 085/106page

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〈注〉実験・観察指導のための工夫

 「岩石の観察」をする場合。各学校では偏光顕微鏡不足のためにややもすると省略される場合があったり,スライド等の視聴覚器具によって説明されて通り過ぎてしまう場合が多いときく。
 しかしながら,ちょっとの工夫で大きな効果があがる場合が多い。
 参考までにその例を2〜3項目あげておく。

a 生物顕微鏡を偏光(岩石)顕微鏡として利用する方法(東レ理科教育賞 研究集録4号)
b 生物顕微鏡に偏光板をとりつけて利用する方法(教育センター紀要49度版)
c 簡易偏光拡大鏡をもちいる(理振規格)
d 解剖顕微鏡をもちいて反射光で観察する(岩石薄片を作らずそのままの状態で)

 くわしいことは教育センター地学に問いあわせられたい。

むすび

 中学校指導要領理科に示されている各分野各領域各単元を概観するとともに問題と考えられるものについて考察を加え,指導についても一部述べてきたが,全体からみて今後の指導についても留意すべき事項をあげると,

(1) 探究学習における基本となる知識・理解を確実なものにさせる。
 探究学習には,知識理解の不要説のように考えてしまうが,事物に対する知識,概念,原理,法則,記号などの命名や表現にはたいせつであることを強調しておきたい。

(2) 探究学習における「科学の方法」を身につけさせる。
 指導要領の改訂により,科学の方法は科学の基本概念の育成とともに重視するようになった。
 問題の結果の考察でもふれてきたが,観察,測定,操作,構成活動などの技能を取得させたり,認知したり,分類したり,推理したり,構成的な思考をさせたり,検証したり,'直観したりする思考活動を強調する必要がある。

 このため,観察の方法,実験の条件の整理や制御のし方,モデルの導入,データ解釈,数量的な処理の方法などをじゅうぶんに学習させることがたいせつである。
 これら科学の方法に関する学習を系統的に,組織的に積み重ねる場面を意図的に計画し,用意しておく必要がある。

 たとえば,実験や観察において条件コントロールをどの学年どの教材で学ばせるか。その学んだ方法はどの学年のどの教材で適用させていくか。その教材ではどの程度コントロールさせるかなど学年の発達段階に応じたり,教材の特質に応じた追指導計画があり,指導が行なわれることによって生徒たちは具体的な教材に即して科学の方法を身につけることができよう。

(3) 統一的な見方,考え方をのばす
 自然を探究するためには,自然を統一的にみることにより事象の関係は握がもっとも効果的に整習され,理解も深まっていく。統一的な考え方,見方をのばすためには,課題と学習経験の結びつけをもう一度考えてみる必要がある。バラバラの学習でなく既学習の関連のもとに学習を深めていく配慮が必要であると同時に,生徒たちの脳裏に組み立てられるようにしたい。

(4) 分野的指導の密度をます配慮が必要である。
本県の学力テスト問題の結果から,第一分野の平均正答率と第二分野の平均正答率を比較してみると,第二分野の平均正答率が低い。
 特に,第二分野の問題は,生物の生態の観察や継続的な観察のデータ解釈が多くなり,かなり高度な科学的な思考を必要とする。したがって,指導の面でも,観察,実験,観測,飼育などを通してゆかなければ解決できない問題がある。

 今後,この点を解決してゆく指導がそれぞれの分野でとり扱い,ゆくゆくは実験テストなどの導入も加味され,生徒たちの学力を診断分析することになるだろう。


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