研究紀要第24号 中学校 福島県診断標準学力検査問題分析結果報告書 - 093/106page
〔6〕 対話文を読みその内容について答える問題
・対話文で設問に答える形式は抵抗があると予想したが,全体としては69.5%の正答率であった。
・小問5(60.7%)は,副詞tooの文中における読みの問題である。とりわけ低い正答率とは思えないが,他に比べてやや下まわっている。これは選択肢の3語の発音がいずれも同じ〔tu:〕であり,〔〕ということばが口から出ても,これらの3語のうち正しい語を読みとることができなかった結果とみてよいと思う。
〔7〕 説明文を読んでその内容について答える問題
・小問1−ロ(57.4%)は,最上級の表現をふくんだ文の応答の問題で登場者が3人になったため混乱したと思われる・比較級が定着した段階で最上級に入らないと混乱をきたすので,指導上留意したいところである。
・小問4−ロ(59.4%)は,文の内容に関する応答の問題である。小問4−イ(82.4%)と形式は同じでありながら,2問の間に23%という大きな差が出たのは,小問4のロにおける質問の文がイよりも長い文であること,文中の単語sub-jectという語に抵抗があることなどが理由として考えられる。
いずれにしても文が長くなったり、少くむずかしい単語のふくまれる文では,すぐ正答率が下がるのは,基本的な英語が身についていないこと,したがって転移力がとぼしいことを表わしている証拠であるといえよう。
【3】 書くことの領域
この領域は,基本的な符号を正しく書く問題,大文字・小文字を正しく書く問題,語を正しくつづる問題,身近な文を正しく書く問題からなりたっている。
符号の書き方は各問とも90%をオーバーしており問題はないが,つづりの問題(66.1%),語順(61.2%)と正答率は低くなっている。
〔1〕 基本的な符号を正しく書く問題
・平叙文の文尾の終止符に9.4%の誤答率があるので,平常の書く活動についてのきめ細かい指導が望まれる。
〔2〕 大文字,小文字を正しく書く問題
・各問とも80%以上の正答率を期待したが,下まわっている小問もある。
・小問2(68.1%)は,人名のはじめの大文字の問題であるが,これは人名よりもその前にあるMrs.のMを誤りとし,mと小文字にした生徒が多いことが起因している。固有名詞(人名・地名)についても,はっきり確認しておきたい。小問5(57.9%)の曜日のはじめの大文字を知らない生徒がいるのは,よくあることであるが,月名とともに念入りに指導したい。
〔3〕 語を正しくつづる問題
・小問6(68.9%)のhouseのスペリングは,予想以上に正答率が高いが,発音のとおりauをえらんでいる生徒が多い。小問9(61.5%)は,dictionaryという語であるが,つづり字をひとつひとつおぼえるのも大切だが,語の形やイメージを大切にしたいところである。
・小問8(53.6%)のchairは,ややむずかしいかもしれないが,発音のとおりにear,areをえらんだ生徒が多い。
〔4〕 身近な初歩的な文を正しく書き表わす問題
・三つの語または語群の並べかえは比較的良いが四つになると急に正答率が低くなってしまう。小問7(11.2%)はHow oldではじまる疑問文をつくる問題であるが,How old are you?ができてもHow old is your father?ができないのが一年生の特徴である。
is your〜の語順の訓練不足ということになろう。全体として気づいたことを二,三述べておくことにする。
放送による聞きとりテストが良好であるのは,最近,各種の音声教材が手近にあり,TV,ラジオなどの普及等により入門期から正確な音が耳に入るようになったこと,先生方の指導の方法にっいても,指導上十分配慮されてきたようにみえる。
また,つづり字については,音声とつづり字の関係を生徒ひとりひとりが理解するまで,聴覚,視覚,あらゆる方法でドリルをすることか必要と思われる。
「書くこと」については,小問1つだが,理解できないというのではなく,基本文型の習得が不十分なためか,2〜5問の誤答をするものが目立った。