研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 002/060page
における移行措置の影響が小さいと考えられるので,学力の変動から学習指導要領の改訂初期と学習指導要領の徹底した時期との間の関係をみることができるであろうと考えた。
そこで,比較年度を次のように定めた。
・昭和37年度(33年改訂の学習指導要領は昭和36年度に全面的実施となった。)…………改訂初期
・昭和42年度……徹底した時期
・昭和47年度(43年改訂の学習指導要領は昭和46年度に全面的実施となった。)……………次の改訂初期A 小学校3年から5年について
中学年,高学年の場合は,学習指導要領の改訂初期である昭和37年度,昭和38年度の資料がない。
そこで,33年改訂学習指導要領の移行措置の昭和34年度,昭和35年度の資料を用いることにした。
したがって,比較年度は次のようになった。・3年,4年については昭和34年度,昭和43年度,昭和47年度
・5年については昭和35年度,昭和42年度,昭和47年度
(6年については,資料不足のため分析・検討の対象外とする。)(4) 比較方法
資料の関係から学習した結果を学力と規定し,また学習指導要領が改訂されても,変わらない内容の学習結果を基礎学力とよぶことにして,それを平均正答率によって数量化する。
そして,次の方法で比較する。
@ ねらいの同じ問題の中から,構成方法が類似し,かつ同程度である問題を選ぶ。
A @で得た問題の平均正答率を求める。
2 比較できない指導内容
43年改訂学習指導要領の指導内容によって以下に示す。
(1) 低学年について
@ 1年の場合
・数と計算の意味では,数直線上の点と目盛の理解。
・量と測定では,広さを比較すること,かさを比較すること。
・計算では,簡単な数の加法と減法の混合計算。
・図形では,形やその特徴を認めたり,言い表わしたりすること,折ったり,重ねたりして考察すること,方向や位置に関することばを用いること。A 2年の場合
数と計算の意味では,分類して数えること,ものごとを整理して表わすこと,1/2や1/3の理解,乗法を適用した問題を解くこと。
・量と測定では,単位と測定の意味の理解。
・図形では,図形を構成する頂点,辺,面の理解,正方形,長方形,直角三角形の理解,位置を座標で表わすこと。
・数量関係では,数量関係を式に表現すること,等号,不等号を用いること,式の意味を表現すること,表やグラフをかく,読む。(2) 中学年について
@ 3年の場合
・計算では,3位数までの数に2位数までの数をかける計算,除数が1位数の場合の除法の計算,小数の加法,減法の計算,分数の加法,減法の計算。
・量と測定では,日常用いられるもののだいたいの長さの理解,道のりを表わす,重さの単位の大きさをもとにして測る,g,kgの理解。