研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 022/060page
度から42年度まで増加の状態にあり,42年度から47年度まで減少の状態にあると推測できる。
ここで,34,35,37年度から42,43年度までの時期を33年改訂学習指導要領の実施初期から徹底した時期とみれば,基礎学力の向上も理解できる。
1年については,算数科指導の始まりでもあり,学習指導要領の改訂の影響も小さいと考えられるので,@の結果は当然のことと理解される。
また,2年〜4年についての基礎学力の変動が学習指導要領の43年改訂の初期にもかかわらず一定の状態にあるということは,むしろ望ましいものと考えてよいであろう。
Bは,学習指導要領の43年改訂の初期ということからの落ち込みとも考えられるが,基礎的学力の低下のきざしが小学校5年にあらわれることを示しているとも考えられる。
(3) 考察の要約
教師の経験的比較結果の意味について要約すると,次のようになるであろう。
@ 児童の計算力の低下ということの意味を,最も基礎的指導内容についての学力の低下と解釈するのが妥当のようである。
A @の現象のあらわれるのは,小学校5年以上であると推測できる。
7 おわりに
最後に,dataの収集について説明する。
問題の構成方法が類似しているか,同程度であるかの判断基準をすこし変えてdataを収集し,ここで用いたdataとの誤差を検討してみた。その結果,母集団の間に有意差がみられないので誤差は許容範囲内にあると判断した。
しかし,細部の推測には適さないと考え全体の傾向の推測にとどめた。
(担当者 津田俊晴・古川保夫)