研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 024/060page
第 1 表
●は蛹化開始 (以下同じ)
大きくなるにしたがって,次代の羽化数は減少してくる。第2図は,次代の羽化数を1対当りに換算したグラフである.当代の生息数が増加することによって,1対当りの次代の羽化数が規則正しく減少してくることがわかる。この現象は密度効果と呼ばれ,ショウジョウバエやアズキゾウムシの増殖では,極めて顕著に表われる現象として知られている。
一般にショウジョウバエを用いてこの実験を行なう場合には,生息空間も広く,個体数も最大100〜150個体で行なうのが普通である。しかし,ここでは,中学校での実験ということから2〜32個体で実験を行なってみた。結果は,第2図に示す通り,比較的良いデータが得られている。ここから,増殖と生息密度との関係をとらえさせることは容易であろう。
生息数の増加によって,1個体当りの生息空間が減少し,その変化が生物に働きかけることを読みとることができる。管びんの観察を加えて考えさせるならば,生息数の増加が交尾や産卵行動の防害,食物の不足,環境悪化による幼虫の死亡などに結びつくことがわかるであろう。