研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 025/060page
ここに示した実験データは,羽化してきた成虫の数を毎日数えているが,授業として取り上げる場合には,成虫が羽化しはじめてから10日後に全体としてまとめて数える方法をとってもほとんど同じデータが得られる。また,生息数によって増殖が変化をうけることだけを見るならば,1対と16対の比較だけでも充分である。実験区は各対について5実験区としたが,第1表に示す通り,ひとつひとつの実験区には多少のばらつきがあるため,この程度の実験区は必要であろう。
ソバやヤエナリなどの植物を用いていた密度効果の実験も,コンチュウを用いることによって,比較的短時問で良いデータを得ることができる。
第 2 表
4.増殖と食物の量との関係を調べる実験
(1) ねらい
ショウジョウバエの増殖と食物の量との関係を調べる実験
(2) 準備
前述した実験に同じ
(3) 方法
@ 2g,4g,8g,16gのえさをそれぞれ5本ずつの管びんに入れ,イーストけん濁液を落とす。
A 羽化直後のショウジョウバエを2対ずつ,それぞれの管びんに入れ,25℃で飼育する。
B 5日後に成虫を取り出して逃がし,その後羽化してきた成虫の数を調べる。期間は最初に羽化してきた日から10日間とする。(4) 結果と考察
第2表及び第3図はその結果である。食物の量と増殖の関係を第3図から見ると,8gまでが食物の増加にともなって羽化数の増加が見られ,ここから食物の量と増殖の関係をとらえることができる。しかし,食物の量が8g以上になると,羽化数は直線的に増加せず,16gでほぼ高原状に達する。この原因として次の二つのことが考えられる。一つは,食物の量が幼虫の生育に必要な量を上回っていること,二つは,成虫と