研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 041/060page

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引張られた鋼材であるが,(1)では結晶粒は引張り方向に伸ばされ,結晶が流れているような状態を示し,(2)では破断部に近づくにつれて結晶粒の伸びにも変化が見られる。

すなわち破断部の近くでは,引張り伸び方向とほぼ直角に亀裂状のシマ模様が溝状になってあらわれる。
破断部は結晶粒が収縮され,ちぎれたようすが観察される。
引張り破断された組織は@結晶粒の流れA亀裂状のものB収縮ちぎれの3ッに分類されるようである。

3.炭素鋼の切削

 (1) 切りくずの発生   ×150
切りくずの発生   ×150

   ○切りくず発生のしくみ
切りくず発生のしくみ

(1)の切削点こおける組織の流れを見ると,結晶粒は,すくい面によって圧縮され,しかも一様に流されていることがわかる。
(2)は切りくずの観察であるが圧縮された結晶粒はより細かなものとなり,粒界間に滑めらかなシマ模様を生ずる。
(3)は切断面であるが平滑には切削されないで鋸の歯の状態を示している。

 (2) 切りくず   ×150
切りくず   ×150

 (3) 切断面   ×150
切断面   ×150

4.工具鋼

 (1) ドリルの結晶粒   ×150
ドリルの結晶粒   ×150

ドリルの結晶粒は非常に細かであり,カタサは焼入れ条件や炭素の含有量等によって異なってくるがドリル等においては約63位である。
炭素含有量が0.6%以上の炭素鋼ではHRCは60〜67位とされており,引張り強さは大きいが,伸びや衝撃値は小さい。

(参考)
 ●丸のこ,帯のこのHRCは45以上とされておりタガネやポンチなどは炭素量によっても異なるが53〜56以上,タップやダイスなどは60以上とされている。


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