研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 049/060page

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女子教員に関する諸問題の分析と考察

本研究は3部に分かれており,第1部が「女子教員による教育と児童・生徒の性格形成」第2部が「女子教員による教育が児童・生徒に及ぼす影響−特に算数学力の差異について」第3部は「女子教員の研修について」となっている。なお,ここでことわりを述べておくが,第1部および第2部は,所報19号・22号において発表ずみであり,第3部のみが新たに付け加えられた論文である。したがって,第1部・第2部をすでに読まれたかたは,第1部・第2部をとばし,第3部のみを読まれたい。

1 女子教員による教育と児童・生徒の性格形成について

第2次世界大戦後わが国における女子教育の台とうは目ざましく,特に小学校においては完全に女子教員の数が男子教員のそれを大きくうわまわってきている。さらにこの傾向はますます強まっていくものと考えられるが,このような事態にいかに対応し,より効果的な教育を実施していくべきかの研究は,数少なく,組織的,計画的におこなわれているとはいえないものがある。

このような観点から,本研究では,教師性差が児童・生徒の性格形成にどのような影響を与えているのだろうか。さらには,それに対応する教授組織の最適化はいかにあるべきかをは握し,教育実践の場で実際に役立つものを得ることを目的として実施したものである。

(1) 調査の方法

 A 調査対象……福島市,郡山市,三春町の中学校3校,1年生647名,高校2校,1年生521名,合計1,168名を対象とした。
 B 調査期日……昭和49年4月中旬
 C 調査方法は質問紙法とし,第1章は小学校6年の間,あるいは小・中学校の9年間を通じて,女子教員によっていく年担任されたかをチェック・アウトさせ,第2章には中林式簡易性度検査(男性的,女性的な反応を測定するテスト)を設問した。さらに第3章では,男女それぞれの教師に習って良かった点,悪かった点を記述させた。
 D 調査期日を新学期当初としたのは,中学校教育が小学校教育のデータに,高校教育が中学校教育へのそれにできるだけ影響が少ない時点を考慮したためである。

(2) 調査結果および分析

表Tは,質問の第1部−女子教員によって担任された年数とそれらの生徒の度数をグラフ化したものである。

これによれば,小学校6年間,あるいは小・中学校9年問を通じて,女子教員によって担任された教育期間は,4年間のものをピークとして全く女子教員に担任されたことがないものが1〜2%,9年間のすべてを女子教員に担任されたものが1%の広がりを示していることが分かる。

表1
表1


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