研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 050/060page
この表でみる限りでは,小・中9年間の分布曲線は,ややガウス曲線に近いものとなっているが,中学1年生の調査から得られた小学校6年間の分布曲線については,3年間担任のところに陥没が生じているのが目立つ。これは,高校生対象の調査と異なり,同一地区内小学校から同一地区の中学校に集中入学することが全体のバラツキを少なくしているためと思われる。したがって,さらに広範囲の地域から数多くのデータを収集すれば,このギャップは消失するものであろうと考えられるものである。
下記の表Uおよび表Vは,女子教員による担任年数とその生徒数の関係を円グラフ化したものである。ここで,表T〜Vから極めて大担な結論を抽出するならば,次のようなことがいえよう。
表U
女子教員によって担任された年数
(小学校6年間)表V
女子によって担任された年数
(小・中学校の9年間)すなわち,小学校6年間のうち,4年間以上にわたって女子教員に担任される者の数は,60パーセント以上にもおよび・中学校までの9年間では,65パーセント近くまでに達する。したがって,男女両性の教師が共にそれぞれの特性を生かしあいながら,児童・生徒の健全な人格形成をすることを教育の理念とするならば,今後の教育行政・学校経営等に大改革が必要となってくる。
しかしながら,現在の教育行政のありかたや,社会的なすう勢から考えてみて,これは一大問題であり,望んでも望み得ないことであるかも知れない。したがって,現在の教育のシステムの中での,実践的な教育の場の最適化こそがわれわれに残された唯一の方法となる。
すなわち,できるかぎりにおいて異なった性の教師,できる限り異質のパーソナリティを有する数多くの教師によって児童・生徒が教育を受けることが可能となるように学級組織の編成を考慮し,さらには,学校経営の方針や教員組織のあり方をできるだけ工夫していくことである。これらの配慮がなされることによって,教師の性差の違いによって引き起されるへい害は,大幅に除かれると思うが,これ等の具体的な方法については後述することとする。
表IVは,女子教員によって担任された教育年数を横軸に,性度測定テストの得点スコアを縦軸にして示したものである。
常識的に考えてみて,女子教員に習った期間が長ければ長い程,児童・生徒は男女共に女性化の傾向を示すと考