研究紀要第25号 学習指導に関する研究 - 055/060page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

師への評価の特質としてとらえられよう。すなわち,女子教員にあっては,教師の性差の違いは決して教育にマイナスの方向づけをする力として働く要因とはならない。また,女教師の問題としていろいろ世間の話題となっていることは,女教師全体の問題ではなく,一部の女教師の問題であると促えた。(女教師全体に共通するものとしてとらえたくない)

さらには,そのようなことを問題にすること自体が問題であるとして,直感的・無意識的に問題の本質をずらしてしまう思考様式が強く表出された結果と解されよう。

他方,男子教師の思考特性として,男性・女性の性の違いが,時として教師性より一歩さきんじて思考されることがあることを裏書きする結果が表われた。しかし,性差より個人差が強く影響を与えると回答した者もかなりの数にたっし,この点からは女性に比し判断が客観的であることがうかがえる。

表Vの2は,表Vの1の項目1と2で影響をあたえると思うと答えたものの細部回答である。この表からは,男子教員の40.8%−(表2の1+2)x68.2−が性格形成の面に,18.1−(表2の1+2)×30.3−が学力向上の面に教師の性差が強い影響をあたえると考えていることがわかる。

 A 学校運営上,男女教師の性別の違いがいろいろと問題を生んでいるようですが,それはどんなことか。

男子教員の意見
女子教員の意見
1  校務分掌,分掌事務の不均衡
2  女子教員には研修意欲がないものが多い
3  感情的になり易く理論的に話しあえない
4  積極的に仕事にとりくむ気構えがないものが多い
5  責任感がうすい
6  依頼心が強い
7  会議で発言せずあとでとやかくいう
8  企画性に乏しい
9  指導的ポストにつきたがらない
10 マイ・ホーム型になりすぎる
11 協調性がない
12 思考に幅がない
13 学級王国を作り易い
14 部活動・クラブ活動に積極的でない
15 退勤時間がルーズ
16 学校行事に非協力的
17 連帯感に乏しい
18 産休・休みが多く担任を持たせられない
1 校務分掌で女性が差別されることが多い
2 指導的ポストがあたえられにくい
3 雑用を多くいいつけられ意欲が喪失する
4 女子のクラス担任が制限されることがある
5 時間外の部活動に参加できにくい
6 家事におわれて学校の仕事が酷になることがある
7 女性軽視がみられる
8 五教科以外の軽視が女教師を圧迫している
   (中学校教師のみ)

ここで問題になるのは,前項1において述べられているように,女子教師の教育は男女両性の児童・生徒の性格の発達にのぞましく作用しているという結論と,上記表Vの2の中の68.2%(全男子教師では40.8%)の数値の“ずれ”の解釈である。

この点に関してはいろいろな憶測がたてられると思うが,本研究では,今回実施したアンケートに記述されている先生方の意見の集約と分析からのみそれにアプローチを図った。

上記の回答は,大多数のかたがたの意見を集約して掲げたものである。なお,男子教員の回答に比して,女子教員の回答は数量的に極めて少なかった。(無回答が約1/3)このことは非常に残念であったことを付言しておく。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。