研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 040/082page

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B 指導観

 ここの地域の子どもは,農村地区特有の一般的傾向がみられ,次のようなことがいえる○学習意欲に乏しいこと。
○自分の考えを適確に表現することに難点がある。
○興味や関心をもって学習に立ち向かう態度が浅く,持続力も低く,依存心も強い。
○数的処理を面倒がり,筋道を立てて考えることが好きでない。
(49年度当初)

そこで,
 ア、意欲を高めること。
 イ、自分の考えを表現すること。
 ウ、筋道をたてて考えること。
を授業の中で訓練してきた。

ア、意欲を高めること。
 この問題は,教師側の問題としてうけとめ,TPのくふうなどで,児童を算数にひきこみ,算数の授業が楽しいなぁといわせるようにしてきた。

イ、自分の考えを表現することは,最初,話したがらぬ子どもたちに,何でもいいから自分の思ったことを発言するようにし,それでもできない子には,クリヤーシートとペンをわたし,それに自分の考えを書かせOHPにかけて発表のかわりにすることからはじめた。

 つぎに,「まちがいは,恥しい。」という考えをとり除くため,何でもいってよいことや人とちがうことは,まちがいではなくてすばらしいことなのだということをわからせて発表に対する安心感を養った。また,能力の高い子たちには,ちがうことをいっても,ばかにしたり,冷やかしたりせずまじめに聞き,その子の考えをなるべく生かすように心がけることを指導してきた。

ウ、筋道をたてて考える。
 このことは,直接,方法を教えるのではなく,授業を通して身につけさせるべく,授業を発見学習的手法に組みかえて実施し各段階に学習訓練をとり入れながら,児童の発言を中心にした授業をすすめて理解の向上をはかり,これらの過程を理解することにより筋道たてた考えを身につけようとはかってきた。

 そのため,授業に活気がでてきて,活発な発言がみられるようになり,学習していない問題でも何とか解決して答えを見つけ出そうとするようになった。

 また,問題を解決するときには,算数の教科書を使わせず,まとめや練習の段階に使わせるようにしている。これは,考え方の幅をひろげ,独創的な考え方を生みださせるという意図をもってのことである。その上,今ならっていることを適応すればよい(かけ算をならっているときは,何でもかけ算となったりすること)という安易な考え方を除き,いつも,問題の読みとりから始めたいと考えたからである。

 従って,この小単元は,演算原理の理解という内容からみて,次のようなことを意図して展開をすすめたい。
 ○ 児童の発想や思考の流れをだいじにしたい。
 ○ 児童たちに,演算形式を見つけ出させて定着をはかりたい。
 ○ 1時間の中だけですべてを解決するのでなく,4時間の中で問題点を正していく。
 ○ 教師のおしつけはなるべくさけ,つまづきがない限り児童の見つけた算法ですすめる。
 こうしたことを通して,児童の読みとり能力見つける意欲や自信,発言の自信などを伸ばしていきたいと考える。


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