研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 064/082page

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1.研究のねらい

 社会科のねらう能力には観察力,思考力,資料を活用する能力があげられるが,特に情報社会の現代においては,児童に資料を活用する能力を身につけさせることが重要であると考える。
社会科においては,資料がなければ授業が成立しないとまでいわれているのに,標準学力検査等を実施してみると,知識・理解力はあるが観察力や資料活用力で比較的劣っている場合がある。

 この原因となるものは,表面的な数字や事象に目をむけ,資料の裏にある事実(表にあっても見落す)を広い視野から考えていく力が不足であったり,資料と資料との関連において,新しい事実を発見する力がたりない等が考えられる。
 広い視野から社会事象をとらえたり,その意味を論理的に追求していくカを育てるには,資料活用のあり方を究明することであろう。

 しかし,現実の子どもたちの能力にはかなりの開きがある。極端な場合には,ある子どもには情報入手の大切な資料となりえたものが,他の子どもにとっては全く資料としての働きをしない場合もあるだろう。しかも資料の種類もかなり多く,それぞれが特質を持っているので,この資料の選択,使い方をめぐっての教師に要求される指導技術も高次なものがなければならない。

 学習問題を解決するために,必要な資料を集め,それを整理すること,解釈することなどの力を育成するぱかりでなく,いくつかの資料を組み合わせて一つの社会的判断をするという操作する力も育成しなけれぱならない。

 資料活用能力の劣っている原因を教師側と児童側の二つに分けて考えてみると,

◎ 教師側
 ア、資料の見方,読み方の指導不足
 イ、資料の精選が十分でない。
 ウ、資料の提示のくふう不足
 エ、複数資料の組みあわせによる思考訓練不足
 オ、指導段階への資料の位置づけの検討不足

◎ 児童側
 ア、資料の内容が読みとれない
 イ、資料を用いての問題解決が浅い
 ウ、社会科学習に対する関心がうすい

 社会科の資料活用能力を高めるには,学習のねらいに即した適切な資料を精選し,準備するとともに,児童自身に資料を操作させ,主体的に資料に取り組む態度を育てることが必要である。

 

2.研究対象

 小学校第2学年を対象とし,「ゆうびんきょくで,はたらく人」の単元の中で,資料活用能力を育成する授業のあり方を実践を通して究明したいと考えた。

 対象校のある地域は,飯坂街道に面した新興住宅街で商店も多く,年々児童数が増加し,年間に約40人の増を数える学校である。

 都市部の子どもの通信機能に対する経験は可なり豊かなものがある。

 

3.指導の実際

(1) 単元名

 「7.ゆうびんきょくで,はたらく人」

(2) 概 観

@ 教材観
 この単元の目標として,
ア、郵便の集配にたずさわる人々の仕事について,自分たちの生活との関係を理解させる。
イ、人々は郵便を利用して,よその土地の人々と必要な連絡をとり,生活を豊かにしていることを理解させ,あわせて利用


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