研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 082/082page

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好奇心を刺戟し,それによって学習が動機づけられるよう,授業の面で創意工夫をこらすことが大切になってくる。

 次に内発的動機づけであるが,これは子どもの自己評価が一つの要素となる。個々の授業の場のそれがどんな目標をもつのか,子どもはそれに対してどこまで進んだかという自分の能力を知らせる工夫をすることによって,学習活動を促す,ということである。評価を子ども側から考えれば,学習の一部として自らの反省の資となり,自主学習の原動力としての学習の確認,動機づけ,強化,誤りの消去となり,また学習方向,態度などを規制する役割を果すものだからである。

A 自ら学びとる能力

 子どもの自ら学びとる能力を高めるために考えなければならないことに,学習のしかたの訓練の問題がある。せっかく,子ども自らが知的好奇心や興味を覚え,自分で調べたいという欲求にかられても,自ら解決を見いだすコツや調べる方法を身につけていなければ,新しい事態に対処することはできない。子どもの学習は生活環境からの模倣からはじまるといわれている。そこで教師は意識的,組織的に学習方法を身につけさせるよう,日々の授業で考えさせたり,経験させたりすることが必要であるし,受動的な知識中心の教育やことばだけによる学習ではなく,行動を通した学習によって,はじめて学習のしかたが体得されるものであろう。

 このようなわけで,学習指導にあたって,まとまりとしての知識,つまり概念や法則を修得させるのに,事実から抽象化する過程を子どもがふみしめながら歩めるように授業を構成することが大切になってくる。そして,知識の生成過程を大切にする授業を通して,子どもたちは,結果としての知識・技能をもよりよく習得することができるであろうし,知識や技能を習得する方法を身につけることもできる。すなわち,新たに事態に当面しても,どこからとりかかったらよいか,どんな順序で考えたらよいか,困難な個所はどのように乗りこえたらよいか,どのようにまとめさせたらよいか,などの思考態度も形成されるものと考えられよう。

 要は,教師が子どもを見る眼を正しく養うことであろう。それは,漠然とした観察眼でなく,条件下における子どもの反応をとらえることであり,そのような学習条件を計画的に整えてやる授業構造がその基底をなすものとも言えるのである。

 担 当  星    正
       芳賀 常夫 (国語)
       金田 充夫 (算数)
       佐藤 隆昭 (社会)
 協力者  福島市立森合小
       佐藤 正良 (国語)
       飯野町立明治小
       鈴木 泰一 (算数)
       福島市立清水小
       渡辺 康郎 (社会)

 

参 考 図 書

○ 社会科における資料活用能力の開発
○ 基本的能力を育てる社会科授業
○ 社会科の基本能力
○ 社会科指導上における効果的な資料の活用
○ 学習指導における能力評価の研究


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