研究紀要27号 児童・生徒の学習能力の発達 - 081/082page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

○ ひとりひとりの児童の発言が全体の児童に大切に扱われるような学習のふんいきづくりをする。
○ 児童の思考が混乱した時や停滞した時,現場学習をしたり,資料を提示したりして学習活動をくふうする。構成活動やスライドなどを用いる場合は,実際に作業させたり,それを見ながら話しあったり,発言させて学習を発展させる。

(2) 資料の位置づけと手だて

@ 導入時における資料

○ 資料に対して児童の直観的な印象をたいせつにする。
○ 児童に資料と関係する過去の経験を想起させる。
○ 児童の新鮮な感覚,柔軟な思考をたいせつにし,その背景をたしかめていく。

資料の具備すべき要件(導入)
○ 児童の考える視点を拡大することのできる資料
○ 解決に必要な資料の選択ができるような資料
○ 単元目標からしては補助資料的性格をその一面に持っている資料

A 展開時における資料

○ 自分が調べるのだという主体性を持たせるように配慮する
○ 自分の身近にあってできるだけ簡単に(効果的に)検証できる資料や方法の選択をする
○ 具体的な資料名や方法を明確にする
○ どれが検証のための中心資料か明確にする

資料の具備すべき要件(展開)
○ 児童自身が主体的に社会の事実や事象を追求できる資料
○ 新しい意味が発見できる資料

B 終末時における資料

○ 学習内容のまとめのための資料
○ その時間の学習内容の定着化をはかるための資料
○ 次時の学習の動機づけのための資料

(3) 資料活用の評価

ア、教科書,参考図書等の意味の読みとりはもちろん,写真,絵地図,図表,グラフ,年表等から必要な社会事象の意味を読みとる力がどれほど育成されたか。
イ、参考図書,新聞,雑誌,その他の参考資料の中から今の学習に必要な資料や自分の見解をのべるために必要な資料を選び出したり,収集したりする能力がどれほど育成されたか。
ウ、選び出した素材を学習のねらいを達成するりに都合がよいようにねらいにそって整理し,構成して学習資料に作成する能力がどのように定着したか。

(4) 能力を高める授業の構想

@ 子どもの能力差

 能力差の生ずる原因はいろいろあげられているが,心理学の研究成果によれば素質面以外の主要因として,学習意欲と学習方法の2つがあげられている。しかも,これらは極めて密接な関連があるといわれている。

 一般に,学習意欲を喚起する方法として,外発的動機づけによる方法と,内発的動機づけによる方法とが考えられる。外発的動機づけは,主として一時刺戟としての効果をもつもので,それには,教師やその他からほめてもらいたい,認めてもらいたいという子どもの心理を利用し,自信を与えてやる方法や試験などで競争心を誘発する方法等がある。子どもによって,この効用も決して無視できないが,これだけにたよるとかえって有害になる。したがって,できるだけ,「驚き」「疑問」「当惑」「矛盾」などに子どもを当面させるなどして,知的興味や


[検索] [目次] [PDF] [前][次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。