研究紀要28号 両親および教師からみた現代の小学生像 - 010/023page
思われるので,これからの一つの大きな課題となるであろう。
(8) 子供の呼び方について
図20 子供の呼び方(地域別)
一卵性の双子の兄弟姉妹でも,兄は兄らしく,姉は姉らしく呼ばれ育てられることによって,兄は弟と異る,姉は妹と異る性格が作られるという。この点から,現代の子供たちは,どのように家庭内で呼ばれているかを調査・集計し,図表化したものが前図である。
この図表から判断すれば,(イ)子供の全部を名まえだけで呼ぶ父母が一番多く,子供を"ちゃん,くん,さん"づけで呼ぶ者が次に続き,"おにいちゃん,おねいちゃんと呼び,その他は名まえで呼ぶ"者は最も少なかった。(ロ)名まえだけで呼ぶものは学年が進むにつれて増加し,"ちゃん,くん,さん"を付けて呼ぶ者は減少することもわかった。
ただし,おにいちゃん,おねいちゃんと呼び,他は名まえで呼ぶ方法は,学年の進行に関係なくほとんど無変動である。これは,兄弟の平等性よりは,兄を兄として,姉は姉として「家」のために役ただせる日本古来からの習慣が根強く無識的に定着している家族制度のなごりであり,それが無意識的であるが故にいったんそのように呼ばれると変化がなされにくいということに原因しているからであろう。
(9) 家での手伝いについて
家の手伝いについては,時どき手伝わせるが圧倒的に多く,76パーセントにおよんでいる。必ず手伝いをさせる家庭は14パーセント程度で,思ったより少なかった。その反面ほとんど手伝いをさせない家庭に10パーセントにも達していることは,大いに考えなけれぱならないことである。なお,家での手伝いは,学年の進行にともなって大きく変動している。すなわち,時どき手伝わせるが減少し,必ず手伝わせるへと移動していっていることがわかる。また,ほとんど手伝わせないについては,大きな変動はみられないようである。
家の手伝いについては,市中心部,市内地区,市外地区によっての差異は認めがたいようである。