研究紀要28号 両親および教師からみた現代の小学生像 - 021/023page
がよい」の順となっている。
以上の結果から考察してみると,激動の社会にあって,現在の小学生は子供らしさを失なうことなく,生き生きと活動的に生活していることが印象づけられてくるようである。
「社交的である」ことについては,学校長が大変高く評価している。これは,学校経営の最高責任者として,児童の姿を適確にとらえているということができよう。担任としてもこの認識は高いようであるが,が,学級内では,社交的なことが普通一般化してしまっており,むしろ行動の活発さが担任の注意をひいたのではなかろうか。従って,学校長と担任とはまったく考え方が同じくしているとも考えられる。望ましい性格は,さらにいっそう伸ばすように努め,子供に生きがいを与える配慮がより学校教育にとって大切なことは言うまでもない。
(2) 現代小学生の性格の短所
表4 現代小学生の性格の短所
項 目 回 答 数 校 長 担 任 計1.根気強さがない 9 30 392.利己的である 8 18 263.物を大切にしない 6 10 164.勤労を喜ばない 6 0 65.消極的態度である 1 25 266.衝動的である
1 14 157.依頼心が強い 1 4 58.実行力がない 1 8 99.思いやりがない 1 0 110.落ち着きがない 1 16 1711.節度がない 0 10 1012.相手の話を聞いていない 0 5 513.相手の立場を考えない 0 3 314.仕事のとりかかりが遅い 0 4 415.ことばづかいがよくない 0 2 216.忘れ物が多い 0 4 417.責任感がない 0 2 218.後始末ができない 0 5 519.付和雷同的である 0 5 5 計 35 165200
この表の頻度数の多いものから分析してみると,次の図62のとおりである。
現代小学生の性格の短所として,学校長と担任が,一致して指適していることは「根気強さがない」ということである。それは過保護に育てられてきた結果と推測される。したがって今後家庭にあっては,自立性を高めることが急務であろう。
学校長が短所として認めているものには,「利己的である」「物を大切にしない」「勤労を喜ばない」などが目立っている。経済的に恵まれて,物質的に豊かになったことが,その一因とも考えられるが,このような性格を変容させていくことが今後ますます必要となるだろう。即ち,知的な教育も大切であるが,全人教育を徹底することの方がより重要と考えられる。
また,担任としては,「消極的態度である」こと