研究紀要28号 両親および教師からみた現代の小学生像 - 023/023page

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なかろうか。このような風潮に伴って,どうしてもしつけが過干渉気味になってくる。このことは宿題や家庭学習,塾がよいや家での手伝いのしつけなどについての項の集計からもうかがえる。読書やテレビのしつけについては,自由にしている家庭が多く,出版文化・映像文化の俗悪化が問題になっている昨今,何らかの教育的配慮が加えられなければ,子供たちの健康な心身の発達を阻害することは火を見るよりも明らかとなるであろう。

 現代っ子は友達が少なく,遊びがうまくできないといわれているが,本調査に限ってはあまりその傾向が強く現われなかった。しかし,この傾向は早晩本県の子供たちにも多く見られるようになるものと思われる。 子供の名まえの呼び方は,全部の子供の名まえを名まえそのもので呼ぶ,兄弟姉妹平等の呼び方が最も多く,まことに喜ばしいことであった。だが,家の手伝いに関しては,家庭学習に力を入れるためか,あるいはテレビの見過ぎのためか,さらには後述する塾通いや習いものの影響のためか,手伝いをまったくさせない家庭が10パーセントもあることは非常に残念なことであった。

 塾通い,けいこごとの問題は,教育界のみならず社会問題として大きく取り上げられているが,本調査でもそれを裏付けるような結果が得られた。

 半数以上の子供が塾や習い物に通い,しかも2つ3つと重ねて塾や習い物をしている子供たちが20数パーセントに達していることは,今後真剣になって改良改善を考えていかなければならないことである。

 食べ物の好き嫌いについては,学年が進むにつれて嫌いな食物が少なくなり望ましい傾向を示している。叱りかたについては,低学年には体罰を加えても悪いことは悪いと教え,高学年になるにつれて,叱責は言葉のみで行なう傾向が強まっていることはうれしい限りである。こづかいについては,96パーセントの家庭が何らかの形でこづかいを与えているが,学年が進むにつれて月給制度が多く取り入れられてきて,金銭の自主管理のしつけがなされるようになってくるのは喜ばしいことである。

 睡眠・起床については,学年の進行にともない,夜ふかし−朝寝ぼう型の子供が増加しているが,これは家庭の生活リズムに大きく作用されているからだろう。忘れ物に関しては,男子が女子より多く,中学年の子供たちに多い。これは自律的習慣づけの欠如によるものと思われるが,家庭でのしつけのみでは改善されない。

 学校での学習へのより興味ある動機づけや,信賞必罰のしつけを取り入れていく等が,この改善に必要となろう。性に関しては,問題がないと考える親が多く,かえってその無関心さが問題としてクローズ・アップされた。

 家庭の教育目標については,「からだの丈夫な子」「思いやりのある子」を目標としている家庭が多い。このことから考えても,これからの学校教育は「体育・徳育・知育」と目標順の転換を図り,知育偏重の教育を改め,たくましく,思いやりのある子供を育てる方向づけを強めていかなければならないだろう。

(2) 教師のアンケートからのまとめ

 学校長・担任教師ともども,現代の子供たちは「明朗である」ことをまず第一に指摘しており,以下「友達と仲がよい」「素直である」「社交的である」「活発である」などを性格特性としてあげている。これに反して「根気がない」「利己的である」「物を大切にしない」「勤労を喜ばない」「消極的である」「衝動的である」「落ち着きがない」「節度がない」などが,悪い特性としてとらえられている。

 このような理由から,各学校では上記の長所を伸し,短所を矯正する指導目標がそれぞれ工夫されており,父母の望む教育目標に合致した合目的な指導がなされていることは非常に喜ばしいことである。

担 当    大 内 昭 市     
      佐 藤 守 男     
      吉 川 浩 先     


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