研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 004/118page

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りする場合に正しくわかる力を「語い力」とみる,という考え方である。
 つまり,「使用語いの力」と「理解語いの力」の二つが,「語い力」の概念内容として考えられるのである。
 ところで,こうした「語い力」をのばす指導については,ほぼ次の六つを考えることができるというのが一般である。

 1.単語の意味を子どもにはっきりのみこませること。
 2.子どもがぶつかる知らない単語の意味を子どもが自分の力でなんとかはっきりさせようとやってみる力をのばすこと。
 3.新しい単語をふやすようにさせること。
 4.知っている単語の意味をいっそう広げ,いっそう深めてやること。
 5.まぎれやすい単語についてはっきり読みわけられるようにすること。
 6.特別な使い方がしてある単語を読みとれるようにすること。

 この中で,1,2,3,5,6,については,わりあい指導の手が加えられているように思われる。しかし,4については,あまり取り扱われていないようである。多くの場合,語い指導の対象とされる単語は,難解なものとか知られていないものにかたよりがちである。

 たとえば,「最後の授業」(光村図書・6下)に「教練」という単語が出ているが,この物語の背景を読むために,それがなんであるかをわかる必要はあるであろうけれども,子どもにとって,さきざき日常生活の中でそれほどひんぱんにお目にかかるものとは考えられない。

 つまり,語句としての指導は必要だが,語いとしての指導は必要でないものもあるということである。

 「語い」の指導は,日常生活でよく使われる単語についてこそとり扱われるべきものであろう。
日常生活で使われているから,子どもの理解が確実だとは言えないのではないだろうか。前にあげた「うち」は,その例にすぎない。このありふれた単語の意味を確実に広げてやることが「『語い』を豊かにする」仕事の一つとして,もっとたいせつにされていいのではなかろうか。

 とは言え,ありふれた単語が,教科書の文章にどんな意味をもってあらわれてくるか,ということが整理されていなければ,すべて思いつきの指導となってしまうであろう。

 そこで,日常ありふれた単語の意味の広がりが,教科書の文章の中でどの程度おさえられるかを調査研究しようと考えたわけである。

 もちろん,すべての学年にわたり,すべての語いについて考察することはできないので,ある限定された条件の中で研究をすすめることとした。

2.研究の方法と対象

(1) 対 象

@ 対象とした教科書及び題材

しょうがく しんこくご 1ねん上
  (49年版)光村図書

こねこ
みたことしたこと
こどものひ
どうぶつえん
にじ,でんきそうじき
ありとはと
川の中のうんどうかい
小さい白いにわとり
赤いスポーツカー
しょうがく しんこくご 1ねん下
  (49年版) 光村図書
くじらぐも
月よのからす

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