研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 006/118page
(3) 方 法
「対象語い」を対象とした文章の中からひろい出し,文脈の中で使われている意味にしたがって,次の基準で分類整理していくことにした。
なお,この基準は,大日本国語辞典(小学館)に採用されている意味をもとにしている。したがって,古語の意味用例をも含んでいるので,現代の文章用例としては該当しない項目もあるが,一応全部の意味,用法をあげておくこととした。
す る
1.(からだや心のある状態,また,ある外界の刺激などが)起こる。起こったのが感じられる。
2.ある状態になる。ある状態である。
3.もう少しである作用が起こりそうな状態になる。また,もう少しであることをしそうな状態になる。(「〜うとする」,「〜ようとする」の形で)
4.時間がたつ。
5.ある動作や行為を行う。
6.(形容詞の連用形,助詞「に」,「と」などのあとにつけて)ある状態にならせる。
7.(形容詞の連用形,助詞「に」,「と」などのあとにつけて)ある状態だと見る。そう考える。感じる。
8.(5のうちとくに)あるものをつくる。
9.ある様子,状態を表す。(8の比喩)
あ る
1.人・動物の場合の存在。
2.無生物,物事の存在。
3.この世に生きている。生き長らえる。生存す。
4.ある場所にとどまっている。また住む。暮らす。
5.ちょうどその場にいる。居合わせる。
6.あるものに所属して存在する。所有されている。所有している。
7.目立つ状態で存在する。(はなやかに暮らす。)
8.目立つ状態で存在する。(すぐれている。すぐれたところをもつ。)
9.(言葉が存在するの意から多く「〜とある」の形で)口に出す。文字に書かれている。「言う」,「書く」より間接的なので敬意がこもることが多い。
10.「ある」が「口に出す」の意を失って形式的に用いられる場合。
11.(多く動作が付随している物事を表す名詞の下にきて)物事が行われる。行われる。なされる。起こる。
12.(間に時があるの意から)時間がたつ。経過する。
13.(指定の助動詞「なり」,「だ」の連用形「に」,「と」,「で」について)指定の意を表す。
14.(種々の語について)そういう状態であることを表す。(間に係助詞がはいることが多い。)
15.(動詞の連用形,あるいはそれに助詞「て」,「つつ」を添えた形について)動作,作用,状態の進行,継続や完了した作用の結果