研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 053/118page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

ウ.数字を□でかこんだ型が,その「語い」にとって,もっとも少なくあらわれるものであることを示し,いわば,その「語い」にとってもっとも少ない意味の広がりの傾向を示す。

 この表から,およそ次のようなことがよみとれる。

@ 「する」,「なる」,「いう」は,2年の教科書に多種の意味・用法があらわれるので,これらの語いの意味をひろげる時期としてとらえることができる。

A 「いる」は,1年から3年にいくにつれて教科書にあらわれる意味・用法の種類が少なくなっていくので,1年,すくなくとも2年ごろまでの学習で,ほぽ,語いの意味・用法の拡大をおわっていなければならないということができる。

B 「ある」は,1年から3年までの教科書には,その意味・用法の大部分があらわれず,このことは4年以後に意味・用法の拡大を扱うべきものであるということを推定しうる方向を示している。
 この推定は,学年をおってyの値が大となる―つまり,学年をおって用例が多くなる―数字がかなり大きいこと(「ある」のT型の数字)からも,かなり確度の高いものと考えられる。

C 上記,@からBの考察に,さらに次のことをつけ加える必要がある。

 「各調査対象『語い』の中で,もっとも多く見られる型」と「各型の中で,もっとも多く見られる調査対象『語い』」とをつきあわせて,さらに考察を深めてみたい。
 いま,前者を○,後者を●で表すこととして,前の表にあてはめてみると,

yの変化傾向
する
いる
ある
なる
いう
T
学年をおって大となる  


   
U
学年をおって小となる  

   

V
2学年が最小である。

     

W
2学年が最大である。

   


X
各学年とも0である。    

   

となる。
 この表の○と●がともにあらわれている部分が,@からBまでの考察にあたる部分である。
 ここでは,それ以外の○や●が単独であらわれる部分,つまり,Tの「いる」,「ある」やUの「いう」,あるいはVの1「する」,「いう」について考察してみたい。

ア.Tの「いる」,「ある」の意味・用法の拡大は,他の「する」,「なる」,「いう」に比べて,学年をおってはかりうる機会が多いこと。

イ.U,Vの「いう」の意味・用法の拡大は,ある学年までではかられねばならないということ。

ウ.Vの「する」の意味・用法の拡大は,他の「いる」,「ある」,「なる」,「いう」に比べて,2学年以外のところではかりうること。

D 前記AとCのアとの間には,矛盾が見られるが,○と●とでは視点が異なるという


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。