研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 055/118page

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理解させ,すくなくとも3年までで定着完了することを目ざさねばならないものである。

ウ.この「語い」では,3年にならないとあらわれない意味・用法が3,3年までに全くあらわれない意味・用法が3,という用例の出現が見られる。したがって,一般的には,「いる」の意味・用例の拡大は高学年までかかるものといえよう。

エ.「動作・作用」に関する意味・用法は,用例の比較による学習が可能であるが,他については,「ウ」をはじめとして,学年にかたよって用例があらわれるので「する」ほど効果的とは思われない。

B あ る

ア.「無生物の存在」という基本的意味・用法の用例が1年でもっとも多くあらわれており,1年の全用例数のうち52.9%が,この意味・用法である。
 2年,3年についても「物事の存在」とあわせると2年が35.8%,3年が57.9%であり,「ある」の意味・用法は,この「2」が大部分を占めるということがいえる。
 したがって,まず「無生物」や「物事」の存在を意味する用法を3年までの間にしっかり身につけさせるということが学習計画の中に配慮されていなければならないことになろう。

イ.「あるものに所属して存在する」意味・用法は1年にもっとも用例数が多く,その点で,1年で,「ア」との比較による学習,2年で記憶にとどめさせる練習,3年で再び比較学習を行い,さらに反復練習させるという方法が効果的であると考えられる。

ウ.「指定」の意味・用法の「ある」は,2年の教科書にその用例が多いので,1年でふれ,2年で定着,3年で反復というのが効果的な方法であろう。

エ.3年までに用例のでない意味・用法が7,2年までにでないそれが2,1年と3年にでないそれが3となっていて,これも「いる」と同様に,この「語い」の意味・用法の広がりのすべてについて,ある学年だけで学習させることには無理がある。
 当然,各学年のさまざまな用例を学年をこえて活用することがなされなければならない。

C な る

ア.「ある状態からある状態に変わる。」,「ある状態に達する。」,「時刻・時期に達する。」,「物事ができあがる。」の各意味・用法は,1年からかなり多くでてくるが,「ある状態からある状態に変わる。」,「ある状態に達する。」は,2年,3年にもその用例が多い。とくに「ある状態に達する。」は3年で41.1%ともっとも高率である。
 これらについては,1年で重点的に扱い,2,3年で復習や練習をするというやり方が効率的のように思える。

イ.1年で用例のあらわれない「その時に至る。」,「時が経過する。」,「ある地位につく。」,「みじめな状態になる。」,「することができあがる。」,「尊敬お〜なる。」については,2年ないし3年であらわれるそれらの用例をアとの比較において学習させることが適切な方法であろう。

ウ.この「語い」は,意味・用法の幅もそう広くないので,すべての意味・用法の


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