研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 064/118page

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 このように,会話の一行を読みとるにしても,文章全体のことがら,場面,すじ,知識・経験などと関係するのである。会話の部分からだけの読みとりでは,十分でないのである。

 「えっ。かっぱ」といったひと(にいさん)はどんなきもちだったのでしょうに対する答えは,下の表のようになる。

「えっ。かっぱ。」といったひとの気持ち

気  持  ち
人数
【1】 びっくりした
17
【2】 おどろいた
9
【3】 おにいさんはびっくりした
1
【4】 みずのかっぱとおもったから
1
【5】 もうかっぱなんていないのに,かっぱがとれるといったのでびっくりした
1

【6】 ほんとうにかっぱはいるのか
3
【7】 かっぱがとれるのは,ほんとうかな
1
【8】 かっぱはこのへんにはいないと思った
2
【9】 一本ばしに かっぱがいるとはしらなかった
1
【10】 ほんとうにとれるのかなあ
1
【11】 かっぱなんかいない
1
【12】 あの あたまの上にさらのあるかっぱがとれる?
1
【13】 えっ,めずらしいなあ,一本ばしにかっぱがいるなんて
1

【14】 おもしろい
1
【15】 こうちゃんがだましておもしろい
1
【16】 うみのかいぶつかと思って はやくいきたくなった
1
【17】 どういうのだか 早くとりたい,早くみたい
1

【18】 びくびくして こわかった かんじ
1
【19】 こわいきもち
1
【20】 はらはらして たべられて しまうから おっかない
1

【21】 きもちわるそう
1
【22】 いやなきもちがして いきたくなかった
1
【23】 いやなきもちだった
1

【24】 かっぱは人げんみたい すこしおおきいから
1

【25】 おにいちゃんは とったら おおもうけだぞ
1

●【1】〜【5】 〈えっ〉ということばを主に読みとったと思われる。【5】はすこしくわしいが,「ぴっくりしている」「おどろいた」という読みとりである。29名と多い。

●【6】〜【13】 これらは,「かっぱ?」の方に視点がおかれた読みといってよい。疑問の方に傾いている。11名。
【1】〜【13】までで40名。ほとんどの児童が,会話一行だけに目をつけているといってよい。これらの読みは出発点であリ,ここから,文脈に即して,深めていかなければならない。

●【14】【15】は,「おにいさん」の気持ちを想像しての読みではなくて,読みとった上での,自分の感想を述べたもの。二年生ぐらいでは,人物の気持ちとそれに対する自分の感想とを明確に区別できないのであろう。

●【16】【17】は,「早くいってみたい」という面を強くとらえている。びっくりしたり,疑問を持ったら次に,「たしかめる」と読んだのであろう。次の文の,「こみちをいそぎました。」に引かれたとも考えられる。

●【18】〜【23】は,「かっぱ」のとらえ方,「一本ばしへ行かない。」の,読みとり方に問題があって,横道にそれたものと思われる。

●【24】〜【25】は,変った考え方をしているので,たしかめてみることである。

E 行動から気持ちを読みとる

 <おにいさんは,こうちゃんのうしろについて,むぎのほなみのゆれるこみちをいそぎました。>
 このときのふたりは,どんなことを考えていたと思いますか。という問いに対して,次の表のように答えている。

ア にいさんの 気持ち
 ざるとバケツを持って前を行くこうちゃん。その後ろを急ぐにいさん。麦の穂波がゆれる小道。これらを、慰い描くことがまず大切である。そして何を考えて,二人はどこに向って,何のために急


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