研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 087/118page
1NHCl,1MNaOH,リンガー液,
A 酵素液
○ すい液−すい臓0.3gに蒸留水9の割合で加え,テフロンホモジナイザーで2〜3分間ホモジネイトした(写真1)後,遠心分離(2000回/分で3分間)にかけ,その上澄み液を使用する。
○ 胃液−前胃の内壁0.2gに蒸留水6の割合で加える。以下すい液と同じである
※ホモジネイトする時は熱で酵素タンパクが変性するおそれがあるので,氷で冷やしながら行うとよい。(3) 方 法
@ 寒天平板の作りかた
寒天平板の作りかたは図−2のように,蒸留水100にスキムミルクと寒天末をそれぞれ2g加えて,湯せんで培地をつくる。寒天がよく溶けたらボーキニンBを1添加しよくかくはんして火を止める。予め乾熱滅菌しておいたシャーレに,注射筒で10ずつ流し込む。
A 試料の作りかた
内容物を取り出した各消化管と,すい臓は,防腐剤入リリンガー液(リンガー液100にボーキニンB1の割合)図−2寒天平板の作りかたでよく洗い,約1p四方のの大きさに切り,試験管(直径12o)にとって,0.5の蒸留水を加えてよく振り,パラフィルムで密封して1時間位放置したものを用意しておく。
※ はさみやピンセットは使用の都度よく洗って別の器官の酵素が付着していることのないように注意する。B 事務用のパンチで打ち抜いた円形ろ紙(直径5.5o)を多数作っておく。
C Aで用意した試料をスライドガラスに少量とり,そこに円形ろ紙を浸す。ピンセットで円形ろ紙をつかみ,スライドガラスの端で余分の液をぬぐいとって,図−3のように寒天平板の上にのせ,シャーレのふたをする。
D 38℃に調整したふ卵器の中で24時間静置しおく。
図−3 寒天平板にろ紙の置きかたE 24時間後,図−3の無色透明部の直径をノギスで測定する。
F いろいろなpHの寒天平板をつくる。上記と同じ方法で,酵素液を円形ろ紙に浸して,各pHにおける無色透明部の直径を測定する。
@の培地
→ 約pH 6 〃 + 1N HCl 1 → 〃 5 〃 + 〃 2 → 〃 4 〃 + 〃 3 → 〃 3 〃 + 〃 4 → 〃 2 〃 + 1M NaOH 0.3 → 〃 7 〃 + 〃 0.6 → 〃 8 〃 + 〃 0.9 → 〃 9※ 初めから培地にHClやNaOHを加えて湯せんをすると,透明になったリ,固まらないでしまう恐れがあるので,湯せんが終って培地の温度が60℃になった頃に上記の量のHClやNaOHを加えるようにする。特にpH2,3やpH9の寒天平板を作るとき注意する。
(4) 結果と考察
各消化管の分泌液を円形ろ紙に浸した寒天平板では,24時間後に写真2のようになった。