研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 091/118page

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ってタンパク質が分解されるので,十二指腸からアミノ酸が多くなっていくと考えられる。

 また,アミノ酸は直腸でずっと少なくなっていることから,小腸でほとんど吸収されていることが確められる。
 つぎに消化管内容物の個々あアミノ酸の名称を知ろうと思って市販のアミノ酸を,上記と同じ方法で電気泳動させてみた。図−8にいろいろなアミノ酸の泳動図を示す。

図-8
図−8 アミノ酸の電気泳動 300V2mA1時間5N酢酸pH1.7

 図−7のうちでスポットが最も濃紫色をしている小腸中央部と,図−8の各アミノ酸のスポットを比較してみると,一番左側の泳動距離が7.5pにあるスポットが一番濃紫色でこれはリジンとほぼ一致するし,左側から4番目のスポット(泳動距離5.7p)はグリシンではなかろうか。左側から5〜6番目の大きなスポット(泳動距離4.7〜3.8p)は,図−8とくらべるとセリン,スレオニン,メチオニン,バリン,ロイシン(泳動距離4.7〜4.5p)とグルタミン酸,フェニルアラニン,トリプトファン,チロシン(泳動距離4.3〜3.8p)の9種類のアミノ酸があって,小腸中央部の個々のアミノ酸の同定は非常にむずかしいことがわかった。

 ろ紙電気泳動法で,消化管内容物のアミノ酸の消長については,スポットの濃淡や,同じ泳動距離のスポットの消失などを比較することによって把握できる。また,スポットの数で何種類ぐらいのアミノ酸があるかも検討できる。しかしアミノ酸の名称を知るには同定するのに無理があるようで,違う緩衝液を用いて調べるとか,幅広い実験が必要になってくるのではないだろうか。

5 小腸壁によるアミノ酸の透過を調べる実験

(1) ねらい

○ アミノ酸が直腸でずっと少なくなることから,内容物の入った小腸から,アミノ酸が外に出てくるかどうか調べる。
○ 小腸に濃度の異なるアミノ酸溶液を入れて透過のようすをニンビドリン液を用いて調べる。
○ 小腸にタンパク質を含む溶液を入れて,タンパク質が透過するかどうかビューレット反応で調べる。

(2) 準 備

@ 材料・器具・薬品

○ ヒヨコの小腸,スキムミルク,もめん糸
○ シャーレ(直径6p),ビーカー,メスシリンダー,駒込ピペット(1),ガラス毛細管(直径1oくらい),ろ紙(東洋ろ紙No.2),はさみ,時計皿,電気定温乾燥器,加熱器具,ピンセット,試験管,メスピペット(1用),
○ リンガー液 10%NaOH,1%CuSO4
2%,5%グルタミン酸ナトリウム水溶液(L−グルタミン酸ナトリウム98.5%)

A 各濃度のグルタミン酸ナトリウム水溶液を少量ずつ作っておく。(0.001%,0.005%,0.01%,0.05%,0.1%,0.2%)

(3) 方 法

@ ヒヨコの小腸を約10pの長さに切り,内容物をしぼり出して,細口の駒込ピペットで中をよく洗う。または一端に毛細管を挿入してうら返してよく洗う。
※ヒヨコの小腸はふ化15日以上たったほうが太くて使いよい。

A 小型シャーレ(直径6p)にリンガー液10


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