研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 092/118page
および蒸留水10を入れておく。
B 東洋ろ紙No.2を0.5×5pの大きさに切り多数作っておく。
C 小腸の一端をもめん糸でしばって,他端から5%または2%のグルタミン酸ナトリウム水溶液を細口の駒込ピペットで約1.5くらい注入して,口端を糸でよくしばる。
※ 腸管内に空気が入らないようにピペットの先はできるだけ深く挿しこんで液を注入するとよい。
D 両端をしばったら,液がもらないか確かめる。
グルタミン酸が付着していないように,水やリンガー液でよく洗う。
E 内容物の入った小腸を約10pの長さに切り両端を糸でよくしばっておく。グルタミン酸が付着していないように,リンガー液でよく洗う。
F リンガー液と蒸留水の入っている小型シャーレに,糸でしばった小腸をセットする。(図−9,写真7)
上段 小腸中央部 小腸中央部 (内容物) (2%グルタミン酸) 下段 小腸後端 小腸後端 (2%グルタミン酸) (2%グルタミン酸)G まず1分後にろ糸氏片(0.5×5p)をシャーレのリンガー液に約1pくらい浸し,すぐ引き上げて電気定温乾燥器の中で100〜110℃で2〜5分問乾燥する。その後は,10分ごとにろ紙片を浸す。
H 乾燥後,ニンヒドリン液をスプレーでふんむして,100℃で5分間,電気定温乾燥器(ヒーターを入れたまま)の中で,加熱乾燥し発色させる。
I つぎに,グルタミン酸ナトリウム水溶液の代わりに,スキムミルクの2%溶液を約1.5くらい小腸の管に入れる。口端を糸でしばる。
スキムミルクが付着していないようにリンガー液でよく洗う。
J リンガー液10入った小型シャーレの中に入れる。10分ごとに,小型シャーレのリンガー液を0.3時計皿にとり,10%NaOHと1%CuSO4をそれぞれ3滴ずつ加えて,ビューレット反応をみる。
※ 小腸の口端は必ずリンガー液の水面より上に出ているようにする。(4) 結果と考察
さきに準備しておいた0.001%から0.2%まで各段階の濃度のグルタミン酸ナトリウム水溶液に,ろ紙片を浸してニンヒドリン液で発色させたものを基準にして,グルタミン酸の透過を判定する。(表−4)
表−4 ニンヒドリン発色判定基準(例)
段階 反応基準 グルタミン
酸濃度 −
±
+
+ +
+++
++++
+++++発色まったく認められない
発色がわずかに認められる
ごくうすい紫色に発色
うす紫色に発色
紫色に発色
やや濃い紫色に変色
濃い紫色に発色0.0 %
0.001
0.005
0.01
0.05
0.1
0.2写真8は,10分毎にろ糸氏片をニンヒドリンで発色させたもので,色が濃くなっていくのが,はっきりわかる。
表−5は,グルタミン酸2%液の入った小腸をリンゲル液の入った小型シャーレにヤットした場合の結果である。同じくグルタミン酸5%液の入った小腸を蒸留水の入ったシャーレにセットした場合の結果を表−6に示した。
なお,リンガー液にセットした場合と蒸留水に