研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 093/118page

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セットした場合発色に差がほとんどなかった。

表−5 グルタミン酸2%液(リンガー液にセット)

 
1
10
20
30
40
50

60 分

十二指腸
±
±
+++
+++
+++
+++
小腸中央部
±
++
+++
+++
+++
+++
小腸後端
±
++
+++
+++
+++
+++

表−6 グルタミン酸5%液(蒸留水にセット)

 
1
10
20
30
40
50

60 分

十二指腸
±
++
+++
+++
++++
++++
小腸中央部
±
++
++
+++
+++
++++
+++++
小腸後端
±
++
++
+++
+++
++++
+++++

図 - 10
図-10

 結果をグラフに表わしたのが図−10である。
 内容物の入った小腸からは,10分後からアミノ酸の透過が確められ,40分過ぎると透過量が多くなっていく。また,小腸へ入れるアミノ酸の量による透過量を比較すると,40分までは,ほぼ同じ経過をたどり,40分を過ぎると量の多い方が透過量もぐんと増加している。
 十二指腸での透過は小腸中央部や後端部に比較すると小さいようである。腸壁が厚いことなども関係していると考えられる。なお,十二指腸を裏返ししたまま,蒸留水を入れて,前述と同様にアミノ酸の検出を行なった結果も図−10に示した。最初は発色しなかったが,50分後にはごくうすい紫色に発色していた。
 つぎにスキムミルクを小腸に入れたもので,前述と同様にセットして透過のようすをビューレット反応で調べたところ表−7のようになった。

表−7

 
シャーレのリンガー液
60分後の
小腸内容物
時  間
10
20
30
40
50
60分
ピューレット反応
+ +

 結果からスキムミルクのタンパク質は透過しないことが確認できる。このことから,タンパク質とアミノ酸の分子の大きさの違いを把握させることができよう。

6 おわりに

 ヒヨコの消化器官と,消化管の内容物とを使ってタンパク質の消化と吸収を中心に,寒天平板法や電気泳動法によるアミノ酸の検出等の実験方法を紹介してきた。

 しかし,まだいろいろ検討しなければならない問題が多く見られる。例えば,消化管の内容物を使って実験する場合に,給餌との関係から,内容物を取り出す時刻の問題とか,餌のタンパク質と消化液に含まれる酵素タンパク質との区別など,またアミノ酸の電気泳動のスポットがはっきり分離されるようにするために,内容物の希釈をどのようにすればよいかなどの問題である。
 これからも,ヒヨコを使っていろいろな実験を試みていきたい。

 

参 考 文 献

1) 佐藤 賢(1975)  タンパク質の消化とアミノ酸の検出。第49回全国理科教育センター研究協議会研究集録
2) 井上 勤(1973)  先生のための電気泳動法入門1,2,4,科学の実験 Vol.24,No.10,12,14
3) 平山 宏(1974)  ヒヨコを使っての実験福島県教育センター所報No.14

(担当 平山 宏)


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