研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 095/118page

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食品の調理性に関する指導資料の研究

−中学校の揚げ物学習を中心として−

1.はじめに

 調理は食品の調理上の性質をよく理解して,それを生かすようにしていかないとよい結果はえられないものである。
 したがって中学校,高等学校ともに「食品の調理上の性質について指導する」という項目が大きくとりあげられている。このねらいは,調理手法とともに調理中に起こる食品の物理的,化学的な変化に目をむけさせ,科学的に調理ができるようにするとともに、転移,応用の能力を養うところにある。
 食品の調理性を理解させるには,実験,実習を通して指導するのが効果的である。実験は実習と密接に関連させて取り扱う必要があり,科学的な根拠を理解させ,適切な調理ができるようにくふうさせたい。

 3学年の揚げ物学習は調理手法,食品の調理上の性質ともに複雑な要素を多くもち,指導のむずかしい調理である。
 揚げ物学習の目標の明確化をはかり,目標行動を設定し,その分析を行ない,調理技術をささえる条件として関連のある食品の調理性をあげ,それに関する実験を行ない,指導資料としてまとめてみた。

2.揚げ物学習の目標行動の設定とその分析

最終目標行動

 野菜と魚のてんぷらの調理計画をたて,作り方の要点に従ってくふうし,能率よく作ることができ目的に応じ参調理ができたか確認できる。

第一次下位目標行動

(1) 野菜と魚のてんぷらの特性及びこれを作るに必要な材料と分量,食品の調理上の性質や調理法の要点がいえる。
(2) 野菜と魚のてんぷらの調理計画にもとづき要点に従ってくふうし,能率よく作ることができ目的に応じた調理ができたか確認できる。

第二次下位目標行動

 食品の調理性に関連するもののみ記載
(1) 油脂の調理上の性質がいえる。
(2) 小麦粉の調理上の性質がいえる。
(3) てんぷらに適した野菜と魚の下ごしらえがいえる。
(4) 揚げ衣の材料と種類と割り合いがいえる。
(5) 衣の作り方と衣のつけ方がいえる。
(6) 揚げ材料に適した揚げ温度及び時間がいえる。
(7) 揚げ物の用具の使い方,手入れ及び安全な取り扱いがいえる。

3.油脂の調理性

(1) 揚げ油の温度変化

 揚げ材料の種類や分量,切り方によって,油の温度がどのように変わるか,温度毎の食品の色の変化,揚がり具合などを知り,揚げ物の要点の一つを理解させるための資料である。

1) 試 料
 じゃがいも  200gぐらいのもの  2個
 小あじ  三枚おろし  10枚
 てんぷら油  600g

2) 用 具
 ソースパン(小)  2
 温度計 300℃  1
 鉄製スタンド  1
 電気コンロ 300W  1
 ストップウォッチ   1


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