研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 113/118page
て情報サービスを行う情報処理産業は今後急速に普及すると予測しており,ソフトウェア業,情報処理サービス業の市場規模の急激な拡大を予測している。
「昭和60年度におけるわが国の情報化及び情報産業の計量予測」もまとめており,それによると@60年度末の汎用コンピュータの設置台数は,10万7,000台,金額で7兆4,674億円に達する。昭和49年度末と比較すると台数ベースで3.5倍(年平均伸び率12.2%),金額ベースで3,8倍(同13.0%)となる。
図3 汎用コンピュータの設置予測(型別)
昭和49年度末 昭和60年度末 倍率 年平均
伸び率(%) 設
置
台
数
(台) 大型
中型
小型
超小型
計
1,725
5,441
7,335
15,592
30,095 (5.7)
(18.1)
(24.4)
(51.8)
(100.0)
4,763
15,203
21,873
64,778
106,581 (4.5)
(14.2)
(20.5)
(60.8)
(100.0) 2.8
2.8
3.0
4.2
3.5 9.7
9.8
10.4
13.8
12.2
設
置
金
額
(億
円) 大型
中型
小型
超小型
計
11,047
5,879
1,572
966
19,464 (56.7)
(30.2)
(8.1)
(5.0)
(100.0)
47,154
18,623
4,913
3,984
74,674 (63.2)
(24.9)
(6.6)
(5.3)
(100.0) 4.3
3.2
3.1
4.1
3.8 14.1
11.1
10.9
13.7
13.0(注) 設置金額は実際に稼動しているコンピュータを,すべて買取価格に換算して合計したもの。大型は2億5,000万円以上,中型は4,000万円以上,小型は1,000万円以上,超小型は1,000万円未満のコンピュータをいう。カッコ内は構成比
図4 情報処理技術者の需要予測(千人)
昭和47
年度末 昭和60
年度末 倍 率 年平均
伸び率(%)システムエンジニア 情報処理業 2.8 12.5 4.5 12.2一般ユーザー 16.8 107.9 6.4 15.4計 19.6 120.4 6.1 15.0プログラマー 情報処理業 8.2 22.0 2.7 7.9一般ユーザー 35.3 132.8 3.8 10.7計 43.5 154.8 3.6 10.3オペレータ 情報処理業 3.3 9.8 3.0 8.7一般ユーザー 18.3 70.3 3.8 10.9計 21.6 80.1 3.7 10.6キーパンチャー 情報処理業 7.3 20.7 2.8 8.3一般ユーザー 60.7 202.3 3.3 9.7計 68.0 223.0 3.3 9.6計 情報処理業 21.6 65.0 3.0 8.8一般ユーザー 131.1 513.3 3.9 11.1計 152.7 578.3 3.8 10.8A情報処理技術者の需要は57万8,000人となるが,供給は39万9,000人しか望めず,供給率は69%にとどまる。B60年度の情報産業全体の総生産額は3兆7,952億円に達し,49年度に比べ4.6倍に増加する。
経済社会における「情報」の役割は今後さらに飛躍的に重要性を増すものと予想されるが,「情報」を適時適切に収集,加工,提供するには,コンピュータ・テクノロジーの利用が不可欠である。また,1976年7月20日に同審議会の総合部会でも昭和60年を目標年次とする「産業構造の長期ビジョン」をまとめて通産省に報告しているが,これによると,これからはいよいよ厳しい制約条件に対応できるような省資源・省エネルギー型・環境保全型の産業の確立を目指して本腰を入れなければならないとの立場から,@土地・資源・エネルギーの利用効率の改善,A環境破壊の防止,B技術集約化,C加工度の向上等,一口にいえば”知識集約化”が要請されるとしている。
このようにわが国の経済社会が,今後知識集約型産業に移行してゆかなければ存続できないともいえるのであって,このような社会の進展にいかに対応するかが国民的課題となっている。この問題につき教育面から触れてみたい。
3 情報処理教育
(1) 情報処理教育の必要性
コンピュータの急速な発達と普及,ならびにこれを応用した情報処理技術の急速な発達とあらゆる分野への浸透,これらを背景にした情報化社会の急速な展開にともなって,情報処理教育は,あらゆる教育の分野とレベルにおいて急速に問題化してきている。
わが国ではこれに対応するように,政府や民間の各種の審議会調査会等の建議書,報告書は,情報処理教育と情報処理