研究紀要第29号 学習指導に関する研究 - 116/118page
1 数学科を中心とする普通科における情報処理教育
2 工業に関する学科における情報処理教育
3 商業に関する学科における情報処理教育これらの三つの形態の情報処理教育はそれぞれ異る最終目標をもち,学習指導要領に示された指導項目などの表現も若干異なるが,じつさいの学習指導の個々の段階での指導目標や指導内容については共通する部分も多い。この共通部分は三つの形態の情報処理教育のANDをとった部分集合とみることができ,図5のように表わすことができる。
この共通部分は,三つの情報処理教育の初期の段階の指導内容の中核を構成するもので,学習指導要領とそれぞれ関連している。この共通部分は一般的で,かつ,最も基礎的な情報処理教育の内容であるとみて、よいであろう。共通部分については本来共通の認識が存在しなければならないものであり,もし共通の認識がなければ普通・工業・商業のそれぞれの情報処理教育は相互に理解することが困難な方言化する危険が生じてくる。
また,この共通的な情報処理教育の対象となる生徒は,おそらく始めてコンピュータに接する比較的低学年の生徒である。このような生徒に,情報処理への関心をもたせ,学習意欲を刺激し促進するには,じっさいコンピュータを使って問題を処理することから始めて,コンピュータヘの親近感をもたせながら,徐徐に視野を拡大していくアプローチの仕方が最も適切であると考えられる。
学校にコンピュータを設置できない場合は,共同利用施設である情報処理センターを利用するとよい。なお来所できない場合は,OMRのメール方式を利用する方法もある。(くわしくは県教育センター第三研修部へ問合わせ願いたい。)
(3) コンピュータ・マインドということ
情報処理教育は,コンピュータ・マインドの養成をねらいとしているといわれる。ではいったいコンピュータ・マインドとはなんだろうか。それは,情報化社会に対応した思考方式なり,情報化社会に適した生き方なりを指す。これと同じようなことばに情報マインドというのがある。北川栄一氏が作り出した新語である。将来の情報化社会
図6 共通部分と関連する科目
教科または学科 科 目 大 項 目数学科 数学一般 (8)電子計算機と流れ図 数学UA D.計算機
(1)電子計算機と流れ図応用数学 (8)計算機と数値計算 理数科 計算機数学 (1)アルゴリズムとプログラミング
(2)電子計算機の機能工業に関する学科 プログラミング (1)基礎的なプログラム
(2)大量データを取り扱うプログラム
(3)複雑な処理のプログラム電子計算機 (1)中央処理装置
(2)記憶装置
(3)入力装置
(4)出力装置商業に関する学科 電子計算機一般 (1)電子計算機の機能と構成
(2)入力データの作成
(3)プログラミング
(4)データ処理
(5)電子計算機のハードウェア
(6)電子計算機のソフトゥェア
(7)電子計算機の利用プログラミングT (1)プログラミングの基礎
(2)プログラミングの手法事務機械 (3)データ処理機械