研究紀要第30号 学年・学級経営の改善 - 009/024page
図7-4 学年会記録簿の利用方法
イ.協議事項の確認
ロ.指導計画の資料
ハ.次年度学年経営の資料
ニ.学年経営の評価・反省の資料以上,7の項目で,「学年会記録簿」につきその有無,形式,利用方法の実態をみたわけであるが,図7−1(学年会記録簿の有無)の調査結果を考察すると,図に示されているごとく,「学年会記録簿」を有しているのは小学校が83%であるに比し,中学校ではわずかに21%に過ぎない。
また,図7-4「学年会記録簿の利用方法」の調査結果から,学年会記録簿は,小・中学校ともに「協議事項の確認」に用いられている。(小・中ともに31%)
なお,前述の図3-4学年会開催の回数についてみれば,小学校では週1回が普通だが(82%),中学校では週1回(31%),隔週(35%),月1回(34%)とわかれている。いずれにせよ週1回以上の開催はまれである。さらに,すでに述べた表4-1の「学年会でとり上げた事項」の結果なども考慮に入れ,以上のことを総合してみると,学年会の比重は研究や準備よりはむしろ協議に重く,それも時には突っ込んだ討議や検討をすることはあっても,多くの場合は簡単な話し合いや,打ち合わせ程度で終っているのが実状であろう。
また,中学校で,学年会の議題として一番多いのは「生活指導に関する事項」であるが(表4-1)生活指導に関する内容は,非行であれ,学校事故であれ,その他問題児等,別冊の帳簿になるのが多く,学年会記録簿には項目程度の記載で終るであろう。こうしてみると,特に中学校では学年記録簿は無くともということにもなりかねない。
次に,学年会記録簿の形式であるが,学年で独自の形式を定めているのは小学校24%,中学校42%(図7-2)となっており,小学校では学校規模が大きくなるに従って形式を学校で統一するようになり,逆に中学校では学校規模が大きくなるにつれて統一の傾向が少なくなっている。
8.学年団
以上,学年会について述べてきたが,最後に学年団のことに触れておきたい。
学年経営の志向する中に調整的機能があげられるが,この調整的機能はさらに「たての系列の調整」と「よこの系列の調整」の二つに分けられる。そしてさらに「よこの系列」には、学級間,学年間各部門などに分けられるであろう。学年団の果たす役割もそこに起因する。本調査では,次の4つの項目を設けて,低・中・高学年というような隣接学年団についてその実態を調べた。なお学年団については対象を小学校のみとした。
(1) 組織の上で明確にされており,実際の活動もある。
(2) 組織の上で位置づけられているが,実際の活動はない。
(3) 組織の上で位置づけられていないが,実際の活動はある。
(4) 組織の上で位置づけられてもいないし,実際の活動もない。図8-1 学校組織上の学年団の位置づけとその活動状況
( )内の数字は上記の
設問項目の数字