研究紀要第30号 学年・学級経営の改善 - 014/024page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

  なおこの場合の「学年をまとめる力」とは,単なる仲よし集団のそれではなく,相互啓発によって成長していくことを志向する集団であることは申すまでもないであよう。
 なお,上記の結果を学校規模別より考察する。

   表13-2 学校規模別にみた学年主任を選出する観点

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
a 型
19
11
28
23
0
2
0
2
0
1
2
2
24
29
17
15
4
5
6
10
b 型
9
10
30
26
0
2
0
0
1
0
6
1
29
28
11
11
6
10
8
12
c 型
13
8
26
18
1
0
2
0
1
0
4
0
29
29
7
23
10
9
7
13
d 型
4
7
26
13
0
0
0
0
7
7
0
7
29
33
19
7
11
13
4
13
      項目番号は図13-1の項目番号の内容を示す。

 さて,図13-1と,図12との相関をみてみよう。図13-1は「学年主任を選出する視点であり,図12は校長が期待する学年主任の職務であった。

 図12によれば,校長が期待する学年主任の職務の中で,小・中学校とも高率で選択された内容は「創意ある学年計画の実施」と「学年内職員に対しての指導助言」であったが,図13-1で,「教科指導・生徒指導等の指導力」と「学年をまとめる力」の2項目が,学年主任を選出する観点で最も多かった事は,その裏づけとなっているといえよう。

 次に,図13-1によって「年配者」は小・中学校ともに1%という低率である。つまり年齢を考慮して学年主任を選任しようとする年齢主義は,各学校ともとっていないということであるが,図1-3の「学年主任の学年内における年齢構成」をみると,学年主任が学年内で最年長者であるケースが,中学校では40%,小学校は67%を占めている。
 さらに小学校の場合であるが,学年主任が女性である場合,最年長者は91%となっている。

 しかし図13-1にみられる限りでは,学年主任の重要選任条件として,「能力」が他を大きく引きはなしていることは注目したい。近時,産業界をはじめとする能力主義が,その能力の内容は問われるにしても,学校運営機構内でのスタッフ選出にあたって,このことが考慮されなければならない時代になっているのである。

14.校長として期待する学年経営

 「学年経営は,教育目標を効果的に達成することを目的として,全職員が共通理解のうえに立ち,仕事を分担し,協力し合って計画的・組織的に教育実践を進めていく営みである」(学年・学級経営の手引き,福島県教育庁義務教育課編は−線は筆者)

 上記の引用は学年経営の定義であるが,ここでは,学年経営の定義づけを問題とするのではなく,学年経営は教育目標を効果的に達成することを目的とした営みであることを認識するためである。

 これまでの調査で,学年経営を種々の角度から検討してきたが,現実に校長はどのような学年経営を望んでいるか,どのような学年経営が,教育目標を効果的に達成し得るものと考えているか,次の7つの項目を設定し調査した。

 (1) 学校経営方針を学年・学級に浸透させる場としての学年経営
 (2) 学年・学級の意見を学校経営に反映させる場としての学年経営
 (3) 学級経営の充実発展の源の場としての学年経営
 (4) 学年内の研修の場としての学年経営
 (5) 学年内の人間関係の調整の場としての学年経営


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。
福島県教育センターの許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。