研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 000_02/043page

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ま   え   が   き

 今回の学習指導要領の改訂により,授業の改善・充実と教師の指導力の向上が,一層強く求められることとなった。改訂のねらいの一つである〈国民として必要とされる基礎的・基本的な内容を重視するとともに,児童生徒の個性や能力に応じた教育が行われるようにすること〉を見ても,指導内容を精選して,基礎的・基本的事項を,どの子にもわかるような授業に組織することは,教師の創造的で,柔軟な指導性の向上なしには達成がむずかしいからである。

 また,改訂の基本的方向は,端的にいって,教える側に立ってのものから,子どもの側に立っての「学習する人」のものへの改善だといってよいであろう。これまでの学習指導が,ややもすると,教師の敷いたレールに子どもを乗せ,能率的にゴールさせるということにとらわれていたように思われる。このことの反省をもとに児童生徒が学習内容を理解したり,処理したりする過程において,児童生徒の能力がどのように働いたり,あるいは停滞したりするかについてとらえ,これに合わせて,教材計画,授業設計をしていくにはどうすればよいか,考えてみようとしたわけである。

 学習指導法の改善のための研究として,学習能力の発達と授業に関する研究をおこなった。これは,継続研究の3年目に当たるものであり,今年は,国語,社会の2教科を取り上げ,評価という視点をも加味し,授業を通じて,教科における学習能力の発達について究明しようとしたものである。授業を通じての研究において,その基盤となるものは,児童生徒が心を開いて本来の姿を出して,学習に取り組んでいるということである。児童生徒のこだわりのない,あるがままの姿が表れてこない授業を取り上げたのでは,正しい解釈や,改善への足がかりとなる資料などがとり出しにくいと考えられるからである。

 以上の考え方に立って研究を進めてみたが,その方法,分析のしかた,考察等にいくつかの問題を残していると考えられる。ご活用いただくとともに,ご指導を切にお願いする次第である。

 おわりに,この研究の過程において,ご協力いただいた関係機関,学校,各先生方に心から感謝の意を表するものである。

 昭和53年3月

福島県教育センター所長 山 内 正 彌


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