研究紀要第31号 児童・生徒の学習能力の発達と授業に関する研究 - 000_03/043page

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1 概要

 「学習能力の発達と授業に関する研究」をテーマに取り上げて3年になる。
1年次は,教科における学習能力の形成過程を明らかにすることをねらいとして,社会科・音楽科,家庭科の授業を通して研究を進めた。
 2年次は,国語・社会・算数の3教科を選び,子どもサイドに立った授業を展開することにより学習能力の伸長をはかる方法を明らかにしようと考えたものである。
本年度は,教科における学習能力の育成をはかるために,従来の学習方式を生かしながら,指導のたしかめをどう行い,どのように生かすという観点から,国語・社会2教科の授業を通して研究することにした。

2 ねらい

 この研究では,学習の目標に照らし,子どもが教材内容を理解したり処理したりする過程において,いかなる見方や考え方,取り組み方をするか明らかにしようとするものである。また,子どもの能力が,どのように働いたり停滞したりするものか,その実態を究明すると共に,学習過程における評価のあり方についても研究していく。

3 研究方法

本研究は,教科における学習能力の発達と授業に関する研究であるので,教科を限定して実際の授業を通して,学習能力の育成について究明する。

(1) 基礎研究
学習能力の考え方については,前年の研究を受けているが,評価の観点をつけ加えることにした。
授業過程における評価のあり方や,授業目標の細分化,具体化に配慮する。また,授業分析法についても研究する。

(2) 教科・学年・内容

教科
国語
社会
学年
3学年児童(市部)
6学年児童(市部)
内容
・授業
 文章を構成する能カ−事柄ごとにまとめて書く力を伸ばす(手紙文の指導)
・授業
 資料活用能力の評価
協力者
菊地久男 教諭
 福島市立第三小学校
松崎一夫 教諭
 福島市立森合小学校

(3) 授業研究
研究協力員を依嘱し,授業を実施し記録を整理し考察を加えた。授業は原則として各学校の指導計画に従ったものである。

4 研究内容

主なる内容は次の通りである。

(1) 前提となる能力をとらえること
 これは,新しい教材(課題)に対する子どもの理解の程度,理解の仕方,困難点などをは握することである。そして,指導計画の立案や,授業展開の過程に生かされる。また,授業前の教材に対しての理解状態と,授業に参加したことにより,子どもがどれだけ向上したのか吟味する際に役立てることができる。

(2) 学習過程における子どもの動きをとらえる学習の流れにはいくつかの節がある。その節に当る部分,流れが転換する場面,また流れがよどみ,対立し,とまどいが生じる場面などにおいての,子どもの考え方,受けとめ方,理解の仕方をは握するようにする。

(3) 評価方法を改善する
 評価には,授業前に行うもの,授業展開過程におけるもの,教材(題材)終了時に行うもの。
単元・学期の終わりに行うものなどがある。これ等は相互に深い関連を持ちながらも,各々独自の機能を持つものである。

 @ ここでは授業展開過程における「たしかめ」の研究に力点を置く。
 A 一つの教材(題材)終了時における子どもの能力形成のあり方についてもたしかめる。
 B 指導目標を詳細にとらえ,具体化する。

子どもが学習の結果,目標への到達の仕方をたしかめ得るような形に,分析しておく。そして,子どもの能力がどう働いたか,どこでつまずいたのか究明する。

5 課題

 今後は,授業分析と評価に関する研究を深めて授業改善に役立てるようにしたいと考える。


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