研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 003/092page

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せることを原則とするが,この場合,歴史的分野の学習を第2学年で終了すること,または,第1学年地理的分野,第2学年歴史的分野,第3学年公民的分野の学習をさせることなど,学校の実態に即して適切に定めることができる。

 変っている部分は,下線(筆者が付したもの)を付けた学校の実態に即した学年配当の例と「…学校の実態に即して適切に定める…」が「…学校の実態に即して適切な指導計画を作成する…」だけで,前者は,地歴並行学習の転換期であったので,例として従来実施してきたいわゆるザブトン型を説明したのにすぎず,後者は,前後の文のかかわりから指導計画という語を挿入したのにすぎないと思われる。したがって,この文面からは,従前と同じであると解するようになろう。

 佐藤照雄教科調査官は,「今回の弾力化は,地歴並行学習の完全実施への移行を段階的に,いいかえればゆるやかにするよう配慮したということです」(教職研修52年9月61号)と述べているが,下の調査例を見るとこの方向に進むかは疑問である。

 ※福岡市内中学校36校の調査
 
昭和48年度
昭和50年度
π型
37%
10.8%
ザブトン型
58%
82.7%
その他
5%
6.5%
(「社会科教室」1771976.1)

 このままでは,現状の繰り返しであり,地歴並行学習への批判を強めるだけである。そこで本県の現状を解明し,今後の研究の一つの手がかりを提言したい。

2.地歴並行学習の経緯

(1) 学習指導要領とザブトン型

@ 昭和22年版学習指導要領における指導計画

● 地理・歴史・公民的教科を融合した単元学習(問題解決学習)

A 昭和26年版学習指導要領における指導計画

● 単元学習の推進とザブトン型の萠芽
● 一般社会と日本史
○ 中学校高等学校指導要領社会科編T(昭和26年10月5日)
X章 社会科の指導計画および指導法の地方への適応
………現に改訂されたこの学習指導要領においては,中学校第1学年はおもに地理・歴史,第2学年は歴史・地理,第3学年は政治・経済の分野を中心として問題が選ばれて単元が組織されている……。
○ 中学校高等学校指導要領社会科編U(昭和27年10月20日)
 まえがき
3.中学校の一般社会科は,第1学年は地理的分野,第2学年は地理および歴史的分野,第3学年は歴史および政治・経済,社会的分野の問題を中心として単元が構成されている。しかも,まだ全体としてすっきりしない点もあるので,将来はさらに改善の機会を得たいと考えている。

B 昭和30年版学習指導要領における指導計画

● 系統を重んじる学習へ
● 地理,歴史,政経社(公民)の3分野の分立(地理,歴史,政経杜の各分野の相対的独立)
○ 社会科の改善に関する第3次中間発表(昭和28年12月6日)
U 中学校社会科の指導計画,特に指導内容の改善について
2(2)
一応,第1学年「おもに地理的分野」,第2学年「おもに歴史的分野」,第3学年「おもに政治・経済・社会的分野」として,各学年の単元系列を研究すること。ただしこの場合も,各学年の内容の範囲を狭く考えない


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