研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 005/092page
………分野制の長所を生かしながら,地理的分野と歴史的分野の学習を基礎として,その上に公民的分野の学習を展開するという教科の基本的構造を確立し,その構造の中で,3分野の内容や学習成果の相互の関連を密接に図ることが明確化された。
B 昭和52年版学習指導要領における指導計画
● パイ型教科構造の確立
● パイ型指導計画の推進(地歴並行学習)
○ 中学校学習指導要領
(昭和52年7月23日)
第3 指導計画の作成と各分野にわたる内容の取り扱い
1.指導計画の作成に当たっては,小学校………,地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して………。
2.〈 1頁 参照〉
以上のことをまとめたのが,図1である。
昭和30年代になると,社会科学の総合教科として華々しくスタートした社会科が,昭和20年代の反省と科学技術の発達にともなう時代の要請とによって,系統的な学習を重んじられるようになった。それにともなって3分野の分立となり,3分野制の確立がザブトン型の指導計画を生みだした。
さらに社会科の本質についての課題は,教科構造構築の必要性をもたらしパイ型ないし変型パイ型の指導計画を作りだした。したがって,教科構造の成立なくしてはパイ型ないし変型パイ型は考えられないし・地歴並行学習は考えられないのである。
◎パイ型学習と地歴並行学習
パイ型学習(パイ型指導計画に基づく学習)と地歴並行学習は語義上から異質のものであるが,地歴並行学習が生れたいきさつから考えて,パイ型学習を考えない地歴並行学習はありえないことから,本稿では,しばしば同意義的に使用している。すなわち,地歴並行学習は社会科の教科構造をパイ型または変型パイ型(第1,第2学年を通じて地理的分野と歴史的分野を並行して学習させ,第3学年において歴史的分野を学習させた後に公民的分野を学習させる型)の指導によって合致させることができると考え,第1・第2学年で地理的分野と歴史的分野を並行して学習させるということで,第1学年で地理的分野,第2学年で歴史的分野を学習させるいわゆるザブトン型学習に対する用語として使用している。
3.地歴並行学習の現状
地歴並行学習の現状に関する調査研究は意外に少ない。その原因として考えられることは,前がき(2頁)に述べたザブトン型への逆もどりの傾向があげられる。また調査を実施しても,形式としては地歴並行学習を採用しているが,実際はザ