研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 048/092page
この場合,のViの方が,一見奇妙にみえるので付け加えておく。
図10の回路図で,C',R'は微分回路を構成しているが,いまこれに大きさ−V,周波数fの方形波が入ってくると,図12のア〜イ,ウ〜エの微分波ができる。
図12
(ただし,ウの点でt=0とする。)
ところで,A2の端子には,すでに1/2Vccの電圧が加わっているから,結局は上式に1/2Vccの電圧を加えた式となり,グラフは,図12のViのグラフを1/2Vccだけもち上げたものになる。
これで写真10が理解できよう。P.12の「あとがき」もご参照下さい。
手づくりの実験装置(その2) フランク・ヘルツの実験装置の製作1.はじめに
「原子は不連続のエネルギー状態をとる」というBohrの理論を実証するものとしてFranchとHertzが考えた方法がある。
これは,高校の物理Uの中に教材化されているが,実験装置が高価ということもあって,現場では多くの場合,抽象的な講義の域を越えていないのが現実である。
そこで,生徒実験が容易であり,しかも安価(市価の1/6)にあがる実験装置を設計,試作したところ,たいへん調子が良いので紹介しておきたい。
2.原理
カソード,グリッド,プレートの三つの電極をもつ真空管内に気体原子(たとえばNe)を封入しておく。
カソードKとグリットG2の間に電圧を加えて,カソードから放射される電子を加速する。グリッドG2は高い電位に保っておいてエネルギーの小さい電子はプレートに到達できないようにしておく。
またエネルギーの大きい電子はプレートに達し得るが,この量は電流計Aで測定できるよう回路をつくっておく。
いま加速電圧を徐々に増していくとAの電流ipも増大するが,電圧がある一定値に達すると電流ipは極大となってその後は急激に減少する。
更に加速電圧を増すと電流ipは再び増加し,また一定電圧のとき電流は極大に達する。
図1