研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 054/092page

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キャリアガスHe 1s/p2(35ml/min)
カラム温度 110℃
DET温度 210℃ INJ温度 200℃
レコーダー Range 256mV
チャートスピード 20o/min
Sample Size 2μl
そのときの物質の保持時間は表2のようになる。

 
アニリン
ニトロベンゼン
o-クロロアニリン
p-クロロアニリン
m-クロロアニリン
保持時間の平均
37.9mm
69.1
84.4
122.3
128.1
標準偏差
0.71
1.98
2.67
2.25
1.88
信頼度
(95%)
37.4

38.3
67.9

70.3
82.8

85.9
121.0

123.6
123.5

132.8

表2 純物質の保持時間
 m−クロロアニリンとP−クロロアニリンの信頼度(95%)は,わずかに重複しているが十分識別可能と考えられる。
 生成物質の定量法は次のような方法をとった。

還元生成物に含まれる純物質の混合試料をつくり,クロマトグラムの各成分の面積の量を100とし,それに対するそれぞれのピークの面積比を求め,試料について補正する。そして,それを還元生成物中のモル比と表わす。

 アニリン,ニトロベンゼン,o−クロロアニリン,p−クロロアニリンの純物質の混合試料のモル比とクロマトグラムの面積比がどのような関係であらわれるか調べてみると表3のような結果が得られる。

 
アニリン
ニトロべンゼン
o-クロロアニリン
p-クロロアニリン
混合物のモル比
0.455
0.273
0.091
0.182
クロマトグラムの面積比
0.430
0.273
0.096
0.201

表3 純物質のモル比とクロマトグラムの面積比
GCによる定量分析はいろいろな因子に支配され最悪の場合で10%,通常で1〜2%の誤差を伴うと考えなければならない。

(2) 薄層クロマトグラフィー(TLC)による分析

薄層プレート シリカゲル(東京化成工業製)
展開溶媒 ベンゼン:メタノール:酢酸
(45:1:2)
 呈色試楽 簡単に発色させしかも未反応のニトロベンゼンまで検出するならば,ヨウ素蒸気の中に入れる。
これは発色がうすく,写真によくとれないので,今回はβ−ナフトール試薬を用いた。
β−ナフトール試薬NaNO2 1gを1N−HCl 100mlに溶かした液をA液とする。0.2%−β−ナフトール・1N−NaOH溶液をB液とする。
操作 A液を噴霧後,1分してからB液を噴霧し,60℃で乾燥する。
図1 純物質のTLC
図1 純物質のTLC
左 I2による呈色
右 β−ナフトール試薬による検出

 
ニトロベンゼン
o-クロロアニリン
p-クロロアニリン
アニリン
中心
先端
Rf値
89
72
53
34
42
標準偏差
1.9
2.2
1.8
1.9
2.0
信頼度(95%)
88〜90
71〜73
52〜54
33〜35
41〜44

表4 純物質のRf値(Rf×100)

 アニリンの場合スポットが広がる傾向があるので参考までにスポットの中心と,スポットの上昇最先端のRf値をあげておいた。Rf値から考えて,TLCによって混合物は分離可能と考えられる。

試料の分析は次の方法によった。
 還元反応終了後スズを残して溶液を他の容器に移し,6M−NaOHを徐々に加えていく。一度沈殿ができるが,それが溶解して,黄色または淡黄色の油状物質が表面に遊離するまで6M−NaOHを加える。その後規定量のエーテルを加えよく混合する。そのエーテル溶液の一部を他の小型試験管に移し,脱水剤として無水硫酸マグネシウムを加える。その上澄み液をGC分析或いはTLC分析に使用する。GCのマイクロシリンジは容量10


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