研究紀要第33号 学習指導に関する研究 - 055/092page

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のものを,TLCのキャピラリーは自作品を使用した。

(3) 実験結果と考察

 教科書のような反応条件で実験を行なった。使用するスズを粒数で指示されている方法のときは,多い方の粒数にした。加熱の方法の指示が非常にあいまいなので,実験者によるバラツキが相当出てくるのではないかと考えられるが,今回はアルコールランプを使い,水素が発生しているうちは激しく沸騰しないように十分気をつけて加熱を続けた。試薬の使用量と反応の状態は表5のようになった。

出版社
C6H5NO2
スズ
反応したスズ
HCl
加熱後の状態
A
1ml 3粒(0.95g)
0.92g
5ml 未反応のニトロベンゼンが残っている。
B
1 2粒(0.62g)
0.56g
5 未反応のニトロベンゼンが残っている。
C
0.5 3g
1.28g
5 水素の発生が激しくすぐ一様な溶液になる。
D
1 2粒(0.65g)
0.24g
5 未反応のニトロベンゼンが残っている。
E
0.5 5粒(1.60g)
0.75g
5 油滴がなくなり一様な溶液になる。

表5 試薬の使用量と反応の状態

 反応終了後エーテルで抽出した溶液中に含まれる各物質のモル数を比較してみると表6のようになる。

出版社
アニリン
ニトロベンゼン
o-クロロアニリン
p-クロロアニリン
A
0.28
0.64
0.04
0.03
B
0.08
0.87
0.03
0.02
C
0.94
0.02
0.02
0.05
D
0.06
0.92
0.01
0.0
E
0.86
0.05
0.05
0.06

表6 還元生成物中の各物質のモル比

 前述のように,加熱の方法によって若干の差異は生ずるとしても,大体このような傾向にあると考えられる。C,E社は同じ傾向にあるので,代表的なA,B,C社の生成物をTLCで展開した場合を図2に示す。この場合は前に述べたように,β−ナフトール試薬によって発色させているので最上部に展開されているニトロベンゼンは呈色していない。下の方からアニリン,p−クロロアニリン,o−クロロアニリンを示している。ニトロベンゼンはヨウ素で呈色させるとよい。A,B,C社の生成物のクロマトグラムを示すと図3のようになる。
図2 生成物のTLC
図2 生成物のTLC
左側からA社,C社,B杜,D社

図3 生成物のGC
図3 生成物のGC

A:A社
B:B社
C:C社

T:アニリン
U:ニトロベンゼン
V:o−クロロアニリン
W:p-クロロアニリン


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