研究紀要第35号 学習指導に関する研究 - 003/066page
大切な活動であり,しかもこの活動を通して作り方やそのしくみを知ることになる。作ったものを動かしてみると,その動かし方や動く様子がわかり,そこから,もっとよく動かす工夫への意欲が生まれる。
このように,製作活動では,作る→動かす→気付く→作り直す→動かすの過程を通して,科学的な見方,考え方や創造力が養われ,さらに自分の力で作ったという成就感,満足感から豊かな情操の育成が期待できる。
3 「動くおもちゃ」の指導計画
(1) 題材について
@ 第1次 風で動くおもちゃ
風で動くおもちゃを作って遊ぶ学習活動は,昭和35年の学習指導要領(1年の内容)で,
おもちゃや身近にある道具で遊び,それらの使い方や作り方を工夫し,簡単な事実に気付くように導く。
ア 風で動くおもちゃを調べる
(ア)風車・風輪などのような風の力で動く簡単なおもちゃを作り,それがよく動くように作り方を工夫する。として取り上げられ,多くの教科書では,「かざぐるま」の単元の中で扱われていた。
昭和44年の学習指導要領では,理科からは姿を消したが,図画工作科の2年の内容(工作領域)として
「水の流れや風などで動く簡単なおもちゃを工夫して作ること」
が扱われている。今回の学習指導要領では,再度理科の内容として取り扱われるが,造形活動とも深いかかわりを持つ教材であり,合科的,総合的扱いの配慮のもとに指導することが必要である。
子どもたちにとって,自然の風は操作しにくいものであるが,このような自然の風を利用した遊びを経験させることは意義のあることである。この題材は2年の空気,3年の風車に発展するとともに,3年の風の様子の変化とも深いかかわりを持つ。
A 第2次 ゴムで動くおもちゃ
ゴムは児童にとって操作しやすいので,ゴムのはたらきとおもちゃの動きの関係がとらえやすい。
児童の扱いやすいゴムの動力としては,伸びによる動力とねじれによる動力であるが,ここではその両方を扱いたい。ゴムで動くおもちゃについては,簡単なものから複雑なものまでいろいろなものが考えられるが,1年という段階を考慮した上で,子どもの実態に応じた教材を選定する。この指導計画の中では,ゴムの伸びによる動力を利用したものとして「円盤飛ばし」と「ロケット飛ばし」ねじれによる動力を利用したものとして「糸巻き車」を取り上げてみた。
なお,この題材にかぎらず,製作教材を扱う場合には,次のような点について配慮する必要がある。○ 子どもにとって作れるという期待感のあるもの。
○ 子どもが作り方や動かし方について工夫することのできるもの。
○ ちょっとした抵抗感や欲求不満の起こるようなもの。
○ 身近な材料を選んでたやすく作れるもの。
○ ゲーム遊びの工夫ができるもの。製作に用いる材料については,日用品の廃品などから製作活動に利用できるものを収集・整理しておいて,その中から子ども自身に自由に選択させるようにすれば,子どもの創意工夫の芽を伸ばすことが期待できる。